その68

キルトログ、ロンフォールで戦闘する
東ロンフォール(East Ronfaure)
 王都サンドリアの東部に広がる常緑樹の森。
 ナルティーヌ湖から流れ込むシュヴァル川が木々や獣を潤し、王室禁猟地として望ましい自然美が長年保たれてきた。
 しかし、オーク族による伐採と、野生化した大羊の増加によって、近年木々や獣が目に見えて減り始め、王室祭祀官の頭を悩ませている。
(ヴァナ・ディール観光ガイドより)
 このところコンクエストに変動が起こっている。長く頂点に立ったバストゥークが陥落、ウィンダスが首位を奪回してこれを守っている。どうも三国間でコンクエストの協定規約改定が行われたようなのだが、私もよくは知らない(注1)。いずれにせよ我が連邦が首位に返り咲いたのは悪い気分ではない。一方でサンドリアの時代が来ないことに不思議な感じを覚える。国の斜陽化はどうあれ、冒険者には優秀な人材が揃っているはずなのだが。

霧のロンフォール・木立ち 霧のロンフォール

 コンクエスト政策によるモグハウス設置のため、冒険者は宿屋には縁遠い。だが屋根よりも仕事の貰えるのを期待して顔を出す。
『不死鳥の止まり木』という老舗の宿では、来客に出すバタリア菜がないというので、仲買人から仕入れてきて欲しいと頼まれた。仲買人は西ロンフォールにいる。遠出するなら、東にいるはずの修道僧も併せて探し出せるだろう。
 
 ここで白魔道士の戦法について話しておきたい。ガルカの魔道士は種族的特性が強すぎるが、魔法が尽きるまでは、どの種族も原則的に同じ戦い方をするはずである。

 白魔法には大別して4種類ある。
強化魔法、弱体魔法、神聖魔法、回復魔法である。白魔法と名のつくものは、必ず以上のどれかに類別される。スキルはこの種類ごとに鍛えられるので、呪文によって個別に熟練度が数えられるわけではない。

 強化魔法は、自分とパーティの仲間の能力を一定時間強化する(属性攻撃に対し耐性を与えるものも含む)。プロテスなんかが代表格だ。呪文の性格上、この手の魔法はふつう戦闘前に唱えておく。

 戦闘が始まると弱体魔法を使う。典型的なのがディアで、効果時間内に渡って、徐々に敵の能力を低下させていく。弱体魔法には即効性があるが、致命的な影響は与えられない。そのかわり、結局は殴るしか術がない白魔道士の、来るべき肉弾戦を陰で支える役割をする。

 唯一攻撃が出来るとしたら、神聖魔法がそうだ。バニシュが代表格で、光の属性で敵を強く焼く。ただし詠唱に時間がかかる。詠唱中に敵の攻撃を受けると中断する可能性が大きいから、戦闘中に唱えるのは得策ではない。私を含む多くの白魔道士が、戦闘前にバニシュを仕掛けることで弱点を克服している。機先を制したら、その時点で敵に少なくないダメージを与えておける。最終的にはこれが生死を分けることも大きい。

 殴り合いが終わったあとはむろん回復だ。要はケアルだが、ポイゾナやブライナなど、毒や暗闇を治す治癒の魔法も含まれる。体調を万全に戻し、必要ならば身体を休めて、最初の状態に戻る。以上が白魔道士の戦いだ。黒魔法がどんなふうに使われるのか私は知らない。

ロンフォールに建っている小さな石塔 修行僧の居住する塔。仲買人がいるのも同じタイプ

 8レベルにもなると、遠出をするのは難しくない。東ロンフォールの最南部にいる修行僧にもすぐ会うことができた。

 僧は女スリの隠れ家のような、石造りの塔に篭っていた。ブルーピースを渡すと、心なしか弱々しく、私に例の祝福のジェスチャーをしてみせる。断食で身体を痛めることに意義があるとは、私にはとうてい思えない。ガルカは生存能力の高さに定評があるが、それでも飯がある時は食う。ない時に備えるためだ。腹が減っては戦が出来ぬ、とは人類共通の格言だが、私のような考え方を僧はどう思うだろうか。宗教に身を捧げた眼には冒涜的に映るのだろうか。

 塔を後にして、シュヴァル川支流の先にある西ロンフォールへ戻る。愛想が悪い仲買人に、食材の注文書を渡し、バタリア菜を入荷した。焚き火に集まる獣人をいなし、三位一体のコウモリを退治してから、徐々に北上する。私の強さではロンフォールではそろそろ手狭だ。途中で9レベルになり、よけい手狭になった。そろそろ後続のためにも、近隣のエリアへ討って出る準備をしなくてはならないだろう。


注1
 バストゥークはほぼ全ワールドでずっと一位をキープしていました。その最たる理由は人口の多さでしょう。
 プレイヤーが背景設定に従って、種族と出身国を一致させてキャラクターを作ると、能力ボーナスのついたリングが初期装備に加わります。このためヒュームで始める人に、国籍をバストゥークにする人が多くでました。ただでさえ人気のあるヒュームです。とびぬけて高い比率ではないのですが、ゲーム人口が増えるに従って、無視できない人数差となって表れたようです。他国人はやる気をなくし、それがまたバスの一元支配を長びかせる要因となっていました。
 結局、スクウェアが追加パッチでポイント計算方法を修正した模様です。協定規約改定うんぬんというKiltrogの記述は、以上の出来事を冒険者の視点から解釈したものです。


(02.10.11)
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