その97

キルトログ、絹糸と名水を集める


 23レベルに上がってしばらく経つ。そろそろ装備を全面的に変える頃合いである。実際には24レベルからの装備が多く流通しており、もう少し我慢が必要だが、武器や防具を一新するには大金が必要になる。その時に備えて十分な貯蓄をしておいた方がよさそうだ。


 ウィンダスでお金を稼ぐ手っ取り早い方法は、クロウラーを倒して絹糸3つを集めることと、ギデアスの奥地で名水を汲んでくることだ。それぞれ600ギルと900ギルが手に入る。先日一緒に鼻の院へ行ったKewellは、後者でこれだけお金が貰えるのを知ってたいへん喜んでいた(水は割りとすぐに切れるので、少し時間をおいて尋ねれば何度でも高額の依頼を受けなおすことが可能である)。

 ギデアスに出かけて名水を入手し、再び依頼を受けられるまでの間に、サルタバルタでクロウラーを退治する、というのが私の立てたプランである。この1セットで1500ギルが手に入る。2セットなら3000ギル、こう考えていくと結構な収入だ。ギデアスを10回往復するだけでも9000ギル。順調に絹糸が集まるなら私の所持金はほとんど倍額になっている筈だ。

 私は振れ幅の大きい一攫千金よりは、堅実な収入を繰り返す方を好む。目的さえあれば、単調な行動の反復はそう苦痛ではない。問題はどのくらいギルが必要かである。どうせじきに購入するものだから、鎧や篭手の金額を調べて、競売所で先に入手しておいた方がむしろ手間が少ないかもしれない。


 どの鎧を買うかについて悩んだ私は、Chrysalisに連絡を入れて少し相談に乗ってもらうことにした。
 24レベルからはチェーンメイルという鎧――要は鎖かたびら――を着ることが出来る。胸当ての部分は濃いブルーで、納涼祭(その38参照)の時にKewellが身につけていたことを思い出す。これが実に高額で、ウィンダスの競売所では実に18000ギルもする。他国でも価格はさして変わらないようだ。兜(アイアンマスク)や篭手(チェーンミトン)、ズボン(チェーンホーズ)あたりが2000〜3500ギル程度なだけに、余計にゼロの多さが目立っている。

 高いも何もこれしかないのなら悩む必要もないが、27レベルから着られるブラススケイルはぐっと安いのだ。落札記録を見る限りでは、価格は5000ギル以内に留まっている。この値段の差が何から生じたのかは察しがつく。実はチェーンメイルとブラススケイルの防御力は全く変わらない。だとしたらより低レベルから着られる方に人気が集まるのは当然だ。ただそれにしても1万ギル以上の差額というのはいくら何でも極端な気がする。

 チェーンメイルとブラススケイルのどちらの鎧を買うべきか、私の心は揺れた。後者だとするならさほど金を集める必要がない。ただし27レベルまでは今の鎧で通さなくてはならない。その苦境と18000ギルとの両天秤である。はかりがどちらに傾くかはデータ不足で、私一人で判断するのは少々むつかしい。

 24以降というと、ジュノ大公国周辺で強敵相手に狩りを繰り返すレベル帯だ。私一人で鍛錬するなら、限界を感じたときに適切な鎧を買えばいい。だがこのレベルでは主に仲間と組んでの冒険となる。前衛を努める戦士の防御力は、果たしてどれだけの影響力を持つのか? かなり重要かもしれないし、さほど重要ではないかもしれない。何となれば敵の攻撃が強すぎて、鎧の防御力はたいして問題にならない、というのも可能性としては考えられるからである。

 ジュノに集う冒険者同士の感覚はどうなのか? ブラススケイルを選択する者がある程度いるなら、敢えて27レベルまで通すのもいいだろう。一方そういう吝嗇(りんしょく)が嫌われるとしたら、私は素直に大金を払いたい。同業者に鼻を摘まれてまでジュノでのうのうと過ごしたくはないからである。

 Chrysalisはリンクシェル・メンバーにまで話を聞いてくれたようだが、チェーンメイルは残念ながらこれ以上価格は下がらないだろう、ということだった。ただし需要と供給が安定しているので、手放すときでも購入価格とほぼ変わらぬ値段で売れる。このままの鎧で通すのは無理があり、周囲からはやはり敬遠されるという。結論が出た。思い切ってチェーンメイルを買うべきである。迷いが吹っ切れたら単調な作業にも張り合いが出る。セルビナで木材を採取してみたら、と薦められたが、手堅く見通しがつく定額収入の方が性に合っていることはわかっていた。

 私は何度もギデアスを往復して大金を稼いだ。あと数千ギルとなってからは、シャクラミの地下迷宮に狩場を移した。ここのゴブリンはときどきスケイル系の装備を落とす。売ると一つ200ギル以上、スケイルメイルなら300ギルを越える収入となる。鍛錬と同時に金銭を得る、これは一石二鳥というやつで、私はやがて24レベルとなった。もう少しすれば3万ギルに届こうか、という所持金額である。それが一気に5分の1になると思うと何だか変に心細い気持ちもする。

 私は何の問題もなく、新しい装備一式を手に入れた。


解説

採集について

 冒険者は道具さえ入手すれば、合成の素材をいたるところで採集することができます。以下はその一例です。

 鉱山:鉱石が掘ることが出来る。つるはしが必要。
 草原:草を刈ることが出来る。草刈鎌が必要。
 森林:木を切ることが出来る。まさかりが必要。
(つるはしや草刈鎌、まさかりは道具屋へ行けば手に入ります)

 採集はどの場所でも行えるというわけではありません。カーソルを合わせると、「〜があれば採集できそうだ」と表示される採集ポイントがあります。そこに適切な道具を「トレード」すると、それぞれの効果音とともに素材が手に入ります(場合によっては何も入手できなかったり、道具が壊れたりすることがあります)。
 これらの採集用具は、12本までまとめ持ちできることからもわかるように、基本的には消耗品なので、本格的にやりたいならまとめて買っておいた方が便利です。やってみるとわかりますが、一本あたりけっこう値が張るのにもかかわらず、道具は頻繁に壊れます。一回で駄目になることも珍しくないので、道具はそれなりの数を用意する必要があります。

 採集ポイントは、その場所から誰かが素材を採集した時点で別の場所へ移ります。従って採集者は再び歩き回ってその地点を探さなくてはなりません。素材はごく稀に希少なものが取れるので、運良くそういうものを入手すれば、合成を営む冒険者に高く引き取ってもらうことができます。一攫千金を狙うなら挑戦してみるのも面白いでしょう。

(02.12.22)
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