その1 キルトログ、連邦に赴く
このたび根無し草のような生活をやめて、定住することになった。私は粗末な衣装とはした金を持って、ウィンダスに入った。ここはミスラとタルタルとで構成される、天下に名だたる魔法国家である。
ウィンダスの門を潜ると、大きな広場になっていたが、そこで退屈そうに佇んでいる人影があった。一見ヒューム女性かな、と思ったけれど、髪の毛から三角に飛び出した耳、蹄鉄のような曲線を描いた尻尾は、豹族の仲間であることを物語っている。私はミスラを見たことがなかったが、なるほど猫人とはうまく言ったものだ。彼女たちの顔も、目じりがつり上がり、鼻は細く扁平で、いかにも猫っぽい。「彼女たち」といったのは、男性がたいへん少ないからで、ミスラの本当の故郷である南方の島々でしか見られないそうなのだ。 彼女たちは猫であり、かつ女である。げにミスラは活動的で、好奇心旺盛である。田舎ものの私にまっさきに声をかけたのもミスラである。ナナー・ミーゴというのが名前だそうだが、冒険者の心得を説いてくれたり、まちなかの情報を与えてくれたりして、まずは感謝した。手持ちの金もすくないし、少々生活に不安を覚えていたところである。 渡る世間に鬼はいないものだ。 ところが言葉をかわすうち、会話のくもゆきがだんだんに怪しくなってきた。しまいにはレクチャー料として1000ギルを支払えという。 私が困惑していると、小さい小さい人影が3つほど飛び出してきて、泥棒猫――まさに――を彼方に追いはらってしまった。 彼らがタルタルである。ヒュームの子どものように見えるが、彼らよりずっと小さいし、大人になっても容姿が変わらない。だからタルタルは総じて子供に見えてしまう。ヒュームとの外見上の違いは、小さくとがった耳と、黒い鼻くらいだ。 スターオニオンズと名乗る彼らは正規の守護兵士(ガード)らしく、あの女はたちが悪いから、新米の冒険者は気をつけなくてはならない、と釘をさされる。してみると彼らは大人なのだろうが私のひざくらいまでしかない(注1)。 ただ侮るなかれ、タルタルは随一の魔法の使い手として知られる。私のようにげんこつを振り回すしか能がないモンクなど、たちどころに黒こげにされてしまうことだろう。 タルタルのガードの一人が冒険者優待券というのを私にくれた。おそらく新米の冒険者はみなそういう扱いを受けるのだろうが、何にせよ親切をしてもらうのは嬉しい。 話を聞くとそのチケットは、持っているだけではただの紙切れにすぎず、特定のなにがしに手渡すことで特典を得られるのだという。 なるほど、何もせずに金品が得られるほど世の中は甘くないわけだ。 こうして自由になった私は、ジャック・オブ・スペーデスという人物をもとめて、まずは手持ちの地図とにらめっこをしながら街をさまようことになったのだった。 解説 ミスラについて タルタルについて オープニングイベントについて FF11を始めるさいに、プレイヤーは自らの種族を決定しておく必要があります。種族ごとに能力に偏りがあるのはもちろんですが、好みの外見であるかどうかも考慮するべきでしょう。 ここで登場するミスラは、文中にあるように「猫人」とでも呼びたいような外見をしています。猫の耳に尻尾、しなやかな身のこなしに象徴されるように、素早さに優れるので、シーフ(盗賊)や狩人などのジョブ(職業)に向いています。 彼女たちはヴァナ・ディールの大陸の出身ではなく、周辺諸島から移り住んできた狩猟種族です。ミスラは男の数が極端に少ないという特徴を持っています。男性はすべて故郷の島にとどまっており、ゲーム開始時点でそちらへ行くことはできないので、通常見かけるミスラはほぼ全員が女性です。ですからプレイヤーもミスラの男性としてプレイを始めることはできません。
タルタルはトールキンの『指輪物語』に代表されるホビット族のような外見です。少しとがった耳、黒い鼻、極端に小柄な身長、大人になっても変わらない容姿が特徴。通常ファンタジーにおける小人系の種族――ハーフリングやグラスランナーなど――は敏捷性に優れるのですが、タルタルは魔法の能力に突出しており、独自性を見せているようです。
プレイヤーは、サンドリア王国、バストゥーク共和国、ウィンダス連邦の中から自分の所属国を決定します(ジュノ大公国という国も存在しますが、所属国として選ぶことはできません)。上記のイベントは、ウィンダス連邦で始めたときのオープニングイベントの一つです(3種類あるようです)。 なお、ミスラおよびタルタルのプレイヤーがウィンダスを所属国に選ぶと、初期装備にウィンダスリングがついてきます。 注1 Kiltrogはスターオニオンズ団を「正規のガード」と書いていますが、実はこれは誤解です。詳細はその7をご覧下さい)
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