その12

キルトログ、ギルドで大金を手にいれる

 万全の用意をしておこうと思い、戦士の人が売っていたブロンズハーネス――胴体の防具――を買おうとする。しかし400ギルの金が足りないので、骨工ギルドで少し金儲けをすることにした。

 骨工ギルドは、主に骨や貝殻を使って、装飾品などを作る生産ギルドである。

 生産ギルドはたいていどこもそうだが、クリスタルの力を用いて材料を加工し、アイテムを生成する。何の材料をどれだけ、どう組み合わせ、どのクリスタルで加工するかは、ギルドの純粋な口伝となっており、これに入会しないことには教えてもらえない。もっとも入会金はタダだそうだから、事実上冒険者は無料で合成の情報を教えてもらえるのだ。

 だが、どんな職人だって、一見さんに奥義を教えるわけはない。教えたって相応の技術がないのならまったく無意味である。真剣にギルドに通いつめ、日々腕を磨いて、ようやく上級のレシピを教えてもらえる。冒険者とはいえ、そこまでする者はもう立派な職人と言えるだろう。

 いつの世も職人は後継者の育成に悩んでいる。だとしたらこれは、冒険者という浮き草に伝統工芸を伝えていく、あんがい合理的な方法なのかもしれない。


 骨工の初歩的なレッスンは、骨くず風のクリスタルで精製し、骨の髪飾りを作るというものだ。クリスタルは完全に自前となる。私がぶちのめしたヤグードは数知れないから、クリスタルもいま7個ほど手元にある。骨くずは材料屋で買って、ギルドの職人――私の場合はミスラのおねえさん――に生成イメージを手伝ってもらう。クリスタルのエネルギーがはじける音がして、小さな嵐のようなのが通りすぎたあと、うまくいけば地面に髪飾りが転がっているという寸法だ。もっともイメージに失敗すれば、材料もクリスタルも消し飛び損をするだけとなる。

骨合成 合成の様子。
右にいるのがこの時の私の師匠

 骨くずは一つ80ギルもしないし(注1)、サポート料金も10ギルと格安だ。しかし髪飾りは、ギルドに一つ290ギルで売れる。この道具はブロンズキャップなどに比べると、あまり防御に役立つとは言えないから、身につけている冒険者も滅多に見ない。それなのにこれほど高いのはおそらく外国の貴婦人にでも売るせいだろう。生成に失敗さえしなければ一回で200ギル近くもうかる。何ともぼろい商売である。

 そのせいだか知らないが、風のクリスタルをひとつ110ギルで買いますと喧伝している冒険者がいた。儲かるのをさしおいても生産は面白い。これでは冒険をやめて工房にいりびたるものが出てきてもおかしくはない。それこそギルドの思うツボかと思うと少し怖いような気もしてくる。


 ブロンズハーネスなどとたいそうな名前だから、どれだけ立派な鎧かと思いきや、ローブよりもずっと露出が高いのには参った。恥ずかしいので街中ではそのままローブを着ておくことにする。遺跡の中で必要があれば身にまとうようにしよう。

 西サルタを歩きながら、大声で仲間を募集する。応答がかんばしいとは言えない。皆がミッションに熱心でないとは考えがたいから、やはりこれはたまたまだったのだろう。私の宣伝が悪かったのかもしれない。いろんなことを考えながら東サルタへ走っていると、私に話し掛けてくる女の声がする。

 どこかで聞き覚えがあると思ったら懐かしいミスラだった。Williaであった。


注1
 のちに骨くずが値上がりし、髪飾りの価値が下がった(スクウェアの調整による)ので、この方法で儲けることは出来ません。


解説


ギルドについて

 すべての冒険者は、手にいれたクリスタルを使って生産を行うことができます。この手助けを行うのがギルドと呼ばれる組織です。
 ギルドは全部で9種類あり、ヴァナ・ディール三国に点在しています。

鍛冶、裁縫、錬金術、木工、彫金、革細工、骨工、調理、漁師

 各ギルドに加入するのはすべて無料ですし、複数のギルドをかけもちするのにも一切制限はありません。
 実はギルドに入らなくても、クリスタルと材料さえあれば、冒険者はいつでも好きなときにアイテムの生産を行うことができます。それでは、ギルドに入ることのメリットとは一体何なのでしょうか。
 以下に三つ挙げてみました。

1)レシピを教えてもらえる
 どのクリスタルを使い、材料のどれとどれを組み合わせたら、何ができるかを教えてもらえる。

2)生成をサポートしてくれる
 上記のようにサポート料金を払うことで、一時的に(短い間ながら)合成能力が高まり、アイテム作成に失敗する確率が減る。

3)生産物を買い取ってくれる
 他の店よりも高値で売れる。

釣りはアイテムを生産しませんが、ギルドの基本的な働きはあまり変わりありません。ギルドではエサと獲物の組み合わせに関する情報提供や、一時的な釣りスキルの向上、獲物の買取りなどのサービスが受けられます。上記の変則的なパターンと考えてよいでしょう。
 なお、スキル向上の持続時間は他のギルドに比べて非常に長いようです。


 生産スキルのレベルが上がると、免許皆伝の試験を受けることができます。これに成功すれば、生産ランクの称号が上昇していきます。称号は素人から始まって、見習徒弟下級職人名取目録印可、最後には高弟となります。
 アイテムの中には、生産でしか入手できない品物もありますし、そのうちの一部は複数の高い生産スキルレベルが要求されるものです。
 ただし、生産は基本的に莫大な投資額を必要とするので、本格的に始めるには、安定した収入を得る必要がありそうです。

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