その14 キルトログ、次なるミッションを受ける いきなりで何だが、スターオニオンズの一員となった。ようとは知らないが、おそらくガルカの加入は初めての快挙であろう。 あれこれと急事が続き、ララブのしっぽを届けるのがずいぶんと遅くなってしまった。団長どのは私を馬鹿だと思ったかもしれぬ。しかし私が思ったより彼は何も考えていなかったようで、自分の言った「しっぽ」がララブのそれであるなどとは思ってもみなかったそぶりである。しかし宿屋のむすめ、ピチチちゃんが 「お母さんの欲しがっていたしっぽはこれで間違いない」 と強弁に主張するものだから、団長どのもついに折れて私の入隊を許した。 私は団員のあかしとして、正義バッジというものを授けられた。なかなか立派なものであって、少し感心する。どこぞのギルドの息子なり娘なりが団員にいて、特別に修練したりしているのかもしれない。 口の院に行ったが院長の姿はなかった。魔導球を届けて私の仕事は一段落した。 ゲートハウスにそのむね報告に行くと、少々ねぎらいの言葉があったあと、次は手の院に行って下さいという。手の院は別名カーディアン工房とも呼ばれるところで、愛すべきカカシの隣人を作り出しているところである。東サルタへのゲートに最も近いHPが傍らにあるので、日がな一日新米のカーディアンを並べて言葉の教育をしているところだ、と説明すればわかって頂けるだろうか。 手の院の院長は女性である。アプルルという名前をどこかで聞いたと思ったら、先刻遺跡のなかで口の院院長と口論をしていた例の妹さんである。 彼女は私のことを覚えてはいないようだ。あんなところでガルカに会うと普通なら忘れはしまいが、私は傍らから見ていただけだし、彼女は気が動転していただろうし、私がいまだにタルタルの区別がつかないのと同様、名前でも聞かない限りガルカを見分けるのは難しいだろう。じっさいアプルルという名前に覚えがなければ、私だって同一人物だとは気づかなかったに違いないのである。 兄と違って、アプルル院長のものごしはやわらかかった。 仕事の内容はこうだ。6つの暗き魔導球を、南東の魔法塔に持ち込み、失った光を取り戻させること。魔導球は、カーディアンの知覚と生命をつかさどる大切な器官である。身体に埋め込まれた魔導球が壊れたり、込められた魔力が枯渇すると、彼らは「生きて」いることができなくなるのだと言う。 魔法塔はあるアクシデントによって、大半がその機能を失っており、現在こうした目的に使用できるのは、南東の魔法塔しかないようだ。そして例によって中にはゴブリンどもがうろついているのである。 私は快諾し、闊歩して手の院を後にした。メンバーを雇うにせよ、場所の確認だけは早急にしておかなくてはなるまい。 |
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