その24

キルトログ、Denissと二つの迷宮を探検する

 私はもともと一人で行動するのが主なたちだが、このところはDenissと二人で何かすることがめっきりと多くなった。

 彼女は何かと騒々しいキャラクターなので、一緒にいると退屈しない。ガルカは寡黙に見えるかもしれないが、私は見かけより口が回るほうなので、お喋りな彼女とはよくいろんな話をする。彼女はおそらくその性格からだろう、友人知人が多いようだけれども、ごく限られた人たち以外は知己もない天蓋孤独のガルカであってみれば、一緒に旅して笑いあうような仲間の存在が、ことのほか心地よく、ありがたいように思われる。


 この日は彼女が西サルタにいたので、アウトポスト前でおち合って、再びギデアスへ出かけた。外のやつは強くないので洞窟の中を狙う。幾度もともに冒険しているので連携もなかなかスムーズなものだ。

 私たちのレベルで奥へ行くことは自殺行為だと分かっていたから、地図で行き止まりの広間を調べてみることにした。ヤグードが2体うろついている。強さはたいしたことない。ただひっきりなしに流れているヤグードの吟遊詩人の唄が、どれだけの戦力を彼らに与えているか知れたものではない。行き止まりなのだから、必ず倒さなくてはならない理由などこれっぽっちもないわけだが……。

 ただ、頑張れば何とかなると自分は踏んだので、二人して攻撃を始めた。

 Denissは何の気まぐれか、モンクに鞍替えしていた。別に非難するつもりはないけれど、挑発が私しか使えぬ状況には少し困った。レベル8ではあるし信頼はしているのだが、Denissは装備がうすいから受けるダメージも大きい。だから私が挑発を使って格闘技で叩き、彼女がサポートするという役回りとなった。だがいくらそれなりの装備を身につけているとはいえ、獣人に二人がかりで襲われると厳しく、戦闘が終わったら私は瀕死の重傷を負っていた。いま襲われてはひとたまりもなく死んでしまうだろう。

 私が回復中、彼女は傍らに立って周囲に目を光らせている。立場が違えば私も同じことをする。最初出会ったときは私よりずっと弱かったのだが、今になっては鍛錬をつんだ彼女がずいぶんと逞しく感じられる。


 私たちは結局ヤグードに倒され、アウトポスト前に転送を余儀なくされた。

 ここから再びギデアスへ向かってもよかったのだけれども、先日私が発見した迷宮に行きたいのだが、と提案すると、Denissがいちもにもなく乗った。そこで私たちは南西のホルトト遺跡へと向かうことになった。

 ここはカーディアン――おそらく野良だろう――が迷宮内をうろついている。Denissも以前来たことがあるらしく、一人で降りていってやられたそうだ。カーディアンのやっかいなのは、3体がほとんど離れずに行動していて、攻撃をしかければたちまちリンクしてくる点だ。たとえ雑魚でも3対1では圧倒的に分が悪い。
 だが私たちはふたり……3対2である。

「右のが一番強い」
「強いのをまず挑発するから」
「うん」
「挑発が回復しだい、もう一人をひきつけるので、弱いのを倒したら加勢を」
「おっけー」

 こうして戦闘が始まる。さすがに終わったらどちらかが深手を負っているが、そこは前述したようにお互いをカバーして適時回復につとめるのである。

 ギデアスで一度やられているということもあって、無茶はしないことにし、この迷宮はほどほどで切り上げることにした。これが何の迷宮なのだか私にも結局わからぬ。ただ、カーディアンが
光のクリスタルを落としたことは喜ばしかった。8種あるクリスタルの中でも入手の困難なものだ。貴重な宝物であることは言うまでもないうえ、ここで戦えば入手できるとわかったのは大きな収穫であった。   

 私たちはウィンダスへ戻り、門の前で別れた。私は疲れていたのでぐっすりと休んだのだが、タフな彼女はその後も精力的にヴァナ・ディールを歩き回っていたらしい。

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