その45

キルトログ、金策に走る

 私はとりたてて浪費家ではないが、財布を見るたび吐息をつくのだけは勘弁したい。そういうわけで、ウィンダスに戻ってきてこっち、まずは金を集めることにのみ専心した。

 国から国へ行き来するような冒険者であれば、行商も一つの方法である。ただし最近では高レベルの仲間が増えて、昔ほど旨味がなくなってしまった。
競売所という施設が操業を始めたのには一長一短がある。好きに出品して期間内に品物を競り落として貰う方式なので、売買は便利になったが、競売記録を閲覧できるので流通価格がほぼ一定化した。したがって利ざやを得んとすれば数字の裏をかく努力が要求される。バザーはそれより安くなければよほどでないと買ってはもらえない。
 私だって人に抜きん出るほど機動力が高いわけでないし、特別な商才があるとも思えない。だからこちらの方は最初から諦めることにした。

 小金を持っているのは民間人であるから、ご用聞きでも何でもして、駄賃を貰うのがいちばん手っ取り早い。便利屋と思われているうちが華である。思えば国から出て行くときから引き受けっぱなしの依頼がたくさんある。もう遅いかもしれないが、とりあえずはそれを一つ一つ解決していくことだ。


■鼻の院の役人のかわりに料理を持っていく。久しぶりに顔を出すと、野兎のグリルはまだかとせっつかれる。たいした記憶力だ! 何も喰ってないわけではなかろうから、いろんな人にお使いを頼んでは断られたか、あるいはよほどこの料理が好きなのか、果たしてどちらかなのか私にはわかりかねる。
 
トルティーヤゆで卵バムタム海苔ウィンダスティーという、ずいぶん食い意地のはったメニューを、調理ギルドやらレストランやらをかけずり回って集めた。ゆで卵はモグ金庫にしまってあった古いのにした(内緒だ)。ただしチップは多めで、合計で1000ギル程度の収入になった。

■口の院の役人が、例の院長がことのほか大事にしている杖をぺきんと折ってしまった。幸いにしてアジド・マルジドは院長会議で天の塔に出かけている。彼が留守の間に杖を修理したいというが……。私が
にかわを渡すと喜んで1500ギルをくれた。よほど切羽詰っていたのである。それにしてもウィンダスの役人はわりと給金を貰っているようである。

■厩舎で一羽のチョコボが病気にかかり、食欲がない。森の区のミスラの調剤師から、薬をとってきてくれるように頼まれる。調剤師は材料が手に入らないのだ、と言って肩をすくめる。もうサルタバルタではパパカ草が見つからないらしい(道理でダルメルを同地で見ないわけである)。モグ金庫からひっぱり出してきたパパカ草をひと束渡すと、彼女は喜んで調合にかかった。喜んだのは私も同じで、この報酬は1500ギルにもなった。実に得がたい収入である。


チョコボ チョコボ

■そういうわけで、鍛錬をしている冒険者の邪魔をしないようにしながら、草を食ってしまうクロウラーを見つけては退治する。絹糸を大量に集めてダルメル牧場へ持参した。しめて1800ギル也。

■ミスラの借金取りが張り込む
コル・モル邸を訪れた。博士は私の身体をくんくん嗅いで、彼言うところの「マイ・ペンパル」、モジジちゃんの臭いがするという。そう言われてもまるで名前に覚えがない。彼は今まさに「火竜の背に乗って飛び立つところ」だったらしいが、私には土間でくつろいでいるようにしか見えぬ。話しているうち彼は突然天啓を得て、ごつごつした黒い石を持ってくるよう私に命じる。それが博士の大いなる野望に必要となるそうなのだ。
 私は懐からこれかしら、と
隕石を持ち出す。クロウラー狩りのさい偶然手に入れたものである。彼は喜んで私に自説を説く。曰く、並のタルタルは星の光が天に穴のあいたのぐらいにしか思ってないが、こういう黒い石が正体なのだ云々。この流れ星のなれの果てを使えば願いがかなえられるそうだ。何となくこの元院長が引退した理由がわかる気がする。文通相手とよろしくやる前に、骨工ギルドの借金をさっさと返すことを個人的にお勧めしたい。

■文通といえば、サルタバルタ以北のララブを倒して、例の配達人が落としたとおぼしき4種類の手紙類を手に入れた。これをいちどきに渡しに行ったらたいへんに感謝された。550ギルにもなる。中に
破れたラブレターらしきものがあったので、案外コル・モル博士の恋文かもしれない。破ったのがモンスターだか相手の女性だかは知りようがない。

■手の院に行くと、新しいカーディアンを作る真っ最中であった。カーディアンは星の大樹になる、固くて大きな木の実を頭部に持つ。制作中のタルタル氏が、歴史に名を残してみないか、と私を誘う。生まれつきガードとしての役割を刷り込むため、マンドラゴラの双葉、鳥の羽、虫の羽と、要するにサルタバルタの敵のにおいがするものを覚えこませるのだそうだ。意外に苦労して収集してきたら、名誉は金には換えられないから、ということを遠まわしに言って、200ギルで済まされた。手の院は予算がないのだ。かんじんのNEWカーディアンくんは寝そべったきり、ぴくりとも動かない。何だか騙されたような気分である。

■野兎の肉が大量に余っていたので、「品揃えの変わった雑貨屋」で
乾燥マージョラムを買い、野兎のグリルを作った。マージョラムは肉のくさみをとる調味料である。味音痴の分際で、料理人の修行をしてもいいかな、などという誘惑に少し駆られる。将来儲かるかどうかはともかく、手ごろな資金で始められそうだから、考えておいてもよさそうだ。

 気がついたら、私の財布には8000ギルが入っていた。


解説

競売所について

 冒険者は競売所を通じて、バザーより広い規模でアイテムの売り買いをすることができます。
 この競売システムは通常のせり売りではなく、出品者の希望価格を真っ先に越えた人が入手できるという規則になっています。これによって、せり合う期間の短縮と、無駄な価格の上昇を抑えることができます。迅速にアイテムが入手できますので、翌日レベルが上がってその武器は必要なくなった、というような事態も避けられます。
 競売所はたいへん便利な施設ですが、一部の冒険者がシステムの不備を利用して不正を行い、長いあいだ閉鎖されていました。言うまでもありませんが不正行為は処罰対象になります。不備を発見したら、他のプレーヤーに悪用されないためにも、迷わずGMを呼び出して報告しましょう。 (02.08.11)
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