その209

キルトログ、Leeshaの「姉」に会う

 私たちは長々と最後のメンバーを待っていた。

 近頃、私はLeeshaと、明けても暮れても一緒にいるようになってしまった。鍛錬にしても例外ではない。今は私が戦士で、彼女が白魔道士である。ひとつのレベルを上がるのに、職種や種族ごとに経験の違いがあるわけではない。私たちが一緒に戦う限り――「戦闘不能」によるペナルティを考慮しなければ――同じ歩幅で歩ける。こうして私が成長していけば、もっとレベルの高い彼女の他のジョブとも、いつか折り合いをつけることが出来るだろう。

 白魔道士がいると、パーティメンバーを集めるのはぐっと楽になる。パーティが直面する問題の約半分が、回復役の欠如だからだ。だが私たちは苦しんでいた。傍らにミスラのColin(コリン)(シーフ33、白16レベル)と、ヒュームのKyasha(キャシャ)(黒魔道士33、白16レベル)がいて、あくびを噛み殺している。彼らは前のパーティでも組んだことがあって、お互い知り合いであるらしい。ガルカのChibimaru(チビマル)(侍34、戦士17レベル)は、Leeshaが好んでスカウトした人物だ。ガルカなのにチビというのも変わっている。確かに私と並ぶと、ほんの少しだけ背が低いが、それにしてもタルタルからして見れば、雲をつくような大男に違いあるまい。

 我々は6人目のメンバーを決めかねていた。以上の3人に戦士の私、白魔道士のLeeshaが加わる布陣ならば、もうひとり回復役が欲しいところだ。ところが適当なメンバーがいないのだった。白魔道士は出払っている。赤魔道士も黒魔道士も、一長一短があって、たまにこれぞと思う人に声をかけてみれば、返事がちっとも戻ってこなかったりする。我々は悪い時間にあたってしまったのだ。冒険者も人間である。風呂にも入れば飯も食う。みんな今頃はモグハウスでくつろいで、身体を綺麗にし、腹ごしらえをしているのだろう。そうして扉を開けて出てくる冒険者のうち、我々の条件にかなって、かつ誘いを快く引き受けてくれる人を待たねばならぬ。ヒュームのPeach(ピーチ)(白魔道士33、黒16)こそその人だった。彼女が早風呂か早飯であったかどうかは知らない。


 我々はクロウラーの巣へ出かけた。このレベル帯ならまず理想的な狩場である。ただしクロウラーはずんぐりしているようで攻撃力が高い。このときも魔法のかけ違いで、Kyashaが狙われ、あっという間に倒されてしまった。リンクしあって雪崩のようなトレインを起こすこともある。十分に注意しなくてはならない。

クロウラーを狩る

 ところで最後に加わったPeachであるが、我々を回復する魔法をかけるのに、ことごとくLeeshaと対象が被ってしまう。ほぼ同時に同じ相手にケアルをかけるという具合である。何だか似たところがあるなと思ったら、彼女もLeesha同様金髪であるし、髪をポニーテールにしている。髪型どころか顔までそっくりだ。よくよく見たらまるで同じ顔ではないか。さながらEliceとApricotのようだ。ローブが僅かに違うくらいで、もし互いに名前を隠していたら、私でも見分けがつかないに違いない。

 Leeshaもそれに気づいたようで「生き別れのお姉さん!?」と興奮した声を上げる。そんな人が本当にいるのかどうか怪しいものである。Peachも大げさに驚いてみせて「おおLeesha!」とメロドラマ調にひしと抱き合うのであった。何だかノリまでそっくりな二人だ。

Chibimaruが弓を引き絞る
さて、Leeshaはどっち?

 狩りは順調に終わった。皆1レベルずつアップし、私は35レベルとなった。ウォークライという、雄たけびをあげて、周囲の仲間を鼓舞し、一時的に攻撃力を上げる技も身につけた。もっともこれは本来のやり方よりも、挑発で誘いきれない敵を、強引に惹きつける最後の手段として、もっぱら冒険者たちに利用されている。

(03.12.15)
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