その220

キルトログ、再びコルシュシュ遠征軍に参加する

 前回は不完全燃焼に終わった遠征軍だが、今回は満を持して、告知期間を長めにとり、待ち合わせ場所もウィンダス森の区にした。噴水のところへ集まって、人数が揃い次第、すぐさまブブリム半島へ進撃を開始するのだ。

 我々は万全の体制で臨んだ……筈だった。

 だが計画というものは、ちゃんと立てたからといって、都合よく進むものではないらしい。噴水で待っていたのは、Leeshaを除けば、Landsendただひとりだった。前回参加した他の人たちは、用事があったり、企画のことを知らなかったり、あるいは単にモグハウスから出てこなかったりで、ちっとも人間が集まらない。Leeshaに私が使う武器や防具を取りに行ってもらっている間も、ひょっこり参加希望者が現れるんじゃないかと、淡い期待を抱いていたが、誰ひとり近づいてくる気配がないのだった。

 エルヴァーンのNox(ノックス)という、Landsendの友人が通りかかった。ふたりはしばらく世間話をしていたが、そのうちに、タルタル氏は遠征軍のためにここにいるのだ、ということを伝えた。Noxはウィンダス国民で、遠征軍に興味を示した。これで決まり! 彼が4人目のメンバーとなった。ただし、任務をうまく遂行するには、最低でもまず9人以上は必要なのだ。人間は半分にも満たない。前途多難である。

 出来ることなら、私の友人たちを母体としたかったが、これだけ人がいないのなら仕方が無い、助っ人を募ることにした。幸いにして、前回の経験があった私は、遠征軍のシステムの概要を理解していた。少なくとも、遠征軍とは何ぞや、という人相手にも説明できるくらいには。

 コルシュシュを、ウィンダスの手に奪還しましょう!
 
 ウィンダス国籍の遠征軍メンバーを募集しています!

 28〜30か、それ以上のレベルのかた、Kiltrogまで連絡下さい!


 敢えて愛国心に訴えてみた。すると、参加はできないが、頑張って下さいという通信が2つあった。結局メンバーは増えない。私は仲間に提案した。これからジュノへ行って人間を募集してくる。もし定時までに人数に満たなければ、残念ながら今日は中止にしますから、と。私は飛空挺に乗れないが、前回貰った札があるので、ジュノから一瞬で森の区に帰ってくることが出来る(注1)

 我々は、シャクラミの地下迷宮に篭って、宝箱を開けてまわろうか、という話を具体的に検討していた。それも遠征軍の作戦のひとつだからだ。まあ人数が揃わなければ、それもありだろうな。だがいかんせん、爽快感と達成感に乏しい。人数が集まらなければ仕方ないが。私はジュノへ上がったが、私的には、メンバーはとうてい揃わないだろうと思っていた。単にやれることだけはやってみよう、という心構えに過ぎなかったのだ。

 ところがどうだろう。

 あれよあれよという間に、希望者から打ち合わせが来た。理由はさまざまだろう。ずっとパーティの誘いがなくて暇をしていたり、何か面白いことはないかと思っていて興味を引かれたり、あるいは何としてもコルシュシュを陥落して、当地の特産品を購入したかったり。Landsendのところにも何人か問い合わせがきて、私がウィンダスへ戻るころには、総勢16人の一大勢力になっていた。これには後から加わったApricotやSifも含まれる。ジョブは何がいいですか、とよく尋ねられたが、ここまで大所帯だと、前衛後衛いろとりどり揃っており、もはや何でもいい、と答えるしかない。

 あまりに大人数なので、個人個人がどのような活躍をしたか、とても把握は出来ない。せめてここで名前を挙げさせてもらい、彼らの勲功に報いたい。以下が第二次コルシュシュ遠征軍のメンバーである。

 ガルカのEdwin(エドウィン)。戦士。
 タルタルのLovesay(ラブゼイ)。吟遊詩人。
 エルヴァーンのShurat(シュラト)。獣使い。
 ヒュームのKizza(キッツァ)。シーフ。
 ヒュームのKakizaki(カキザキ)。暗黒騎士。
 ミスラのNeeh(ニー)。吟遊詩人。
 ヒュームのFirefox(ファイアフォックス)。黒魔道士。
 ミスラのMyauh(ミャウー)。シーフ。
 タルタルのGokuu(ゴクウ)。黒魔道士。
 ミスラのWalter(ウォルター)。侍。

 それに私、Leesha、Landsend、Nox、SifにApricot。

 パーティ分けをするのにもう少し時間を要したが、自分が何をすればいいのか判っていると、落ち着いて指揮が出来るものだ。我々はブブリム半島へジャンプし、大人数で手分けして旗を探し始めた。

海岸沿いに旗が見つかる

 旗に触って出現する獣人4匹とまともに戦ったのは、今回が初めてである。前回同様、Sifがおっかなびっくり旗を握り締めると、周囲に凶悪そうなゴブリンが4匹現れた。黒魔道士や白魔道士を狙え、ということをおおざっぱに決めてはいたが、やはり細かい指示のあった方がいい。こちらの黒魔道士がスリプルをかけて眠らせるのは、基本的に後回しの敵――戦士や侍などの前衛職である。ではこの2種が同時に出現した場合はどちらを優先させるのか? せっかく魔法がかかって眠ったものを、つまらぬ攻撃をして起こしては何にもならぬ。黒魔道士は、眠らせる敵を宣言する。私は敵4匹のジョブを確認してから戦闘に入り、みんなで狙うべき標的に向かって号令をかけるようにする。

 最初、ゴブリンを相手にして少し苦戦した。続いてヤグードと戦った。こちらは楽だった。戦闘は簡単に済むときとそうでないときがある。例えば黒魔道士の魔法や、忍者の自爆などのように、全体に大きなダメージを与える技を使われると厳しい。この大部分は相手4匹のジョブ構成に拠る。ゴブリンはおのおの爆弾を持っており、ジョブに関係なく自爆のために使うときがあるので、ヤグードの方が戦いやすいのはむしろ当然であるといえよう。


 我々は確実に旗をたおしていった。戦績は逐一コンクエスト情報に反映されていったが、獣人たちとのポイントの差はなかなか埋まらなかった。パーティは時間がおしせまり、一人ぬけ、二人ぬけしていったが、やはりナイトや白魔道士などのメンバーがいなくなると、三つのパーティ構成を保つのは難しい。そこで、どうやら敵勢力の背中が見えてきたようでもあるし、次に旗を倒したらおしまいにしよう、と私が提案した。確か旗を見つけたのはKakizakiだったように思う。半島北部の石碑の近くで見つかったのだが、この頃になると、誰が一番はやく旗を発見するか、というゲームと化していた。思えばこれも油断につながった一因だったかもしれぬ。

 私の目の前に、4体のヤグードが出現した――まだ仲間が揃っていないのに! 誰かが間違って触ったものらしい。私は舌打ちをして、味方が駆けつけてくるまでねばろうとした。今でもそれは可能だったろうと思う。ただし、相手のヤグードに召喚士が一人もいなかったら、だ。

 何が起こったか判らないままに、我々は全身に衝撃を受けて、地面に倒れた。恐るべき召喚魔法が炸裂し、我々の命を一気に奪ったのだ……。体力のあるガルカがこのざまである。他種族は推して知るべし。

 我々遠征軍は、獣人たちの攻撃の前に、呆気なく壊滅した。


遠征軍が壊滅する……

 信じられないことだが、生き残った者も中にはいた。ただし先刻の魔法で体力の殆どを失っており、ヤグードどもの爪や牙の一撃で、あっさりと地面に転がった。虐殺である。私は改めて反省した。ヴァナ・ディールの最大の敵は「油断」なのだ。相手を見下すとこういう落とし穴に落ちる。果たして遠征前の緊張感を保っていれば、あそこで不用意に旗を触る者が出ていたか、どうか。

 私が仲間たちの断末魔の声を聞いているころ、ちょうどSenkuから連絡が入って、いま用事が終わったのだが、遠征軍は順調か、と尋ねられた。大した説明はいらなかった。彼はチョコボに乗ってただちに駆けつけてくれ、レイズを使って白魔道士を重点的に復活させてくれた。ヤグードたちはとっくに姿を消していたのだが、彼が来なかったら我々の回復はもっとずっと遅れていたことだろう。


 最後にとんだ災難が待っていたが、第二次遠征軍の収穫は大きかった。私は仲間たちと手を振り合って別れた。このときの戦績が反映されてか、やがてコルシュシュは陥落し、再び同地はウィンダスの所属へと帰ったのである。だとしたら、私たちの死は無駄ではなかった。コルシュシュの戦況は不安定で、このさきどうなるか見当がつかないが、まずは第一の目的を達成できたことで、今回の派遣は成功だったと言うべきだろう。


注1
 ジュノへ行く方法は、死にデジョンと呼ばれる方法を使いました。何かレベル1のジョブに適当にチェンジし、モンスターと戦ってわざと死にます。すると、ホームポイント設定をしてある場所に戻ることが出来ます(このときのKiltrogは、ジュノで設定をしていたのです)。レベル3以下のジョブの場合、死んでもレベルが下がりませんし、コンクエストの戦績が減ることもありません。


(04.01.12)
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