その221

キルトログ、アルテパ砂漠で竜巻を見る

 長じるにつれて鍛錬は徐々に厳しくなっている。夜に例えると、37レベルなどはまだ宵の口で、50、60を数える頃になれば、いつ朝が来るのか判らぬという、先の見えない戦いを強いられるようになる。私はこれまで、仲間として鍛錬に出た人とのことは、逐一書きとめ報告していたわけだが、現実的に考えて、これから先もそれを続けていくのは難しい。

 強くなるとレベルが上がりにくくなる。今回も前回と同じ場所に出かけ、同じ敵を同じように倒す。そういう事態は既にクロウラーの巣で起こっている。変化のない描写は、読者の興味を削ぐであろう。私としても、同じ労力を費やすのであれば、おなじみの場所の説明よりも、新しい花、新しい街、新しい事件について書いた方がよいと思う。読み手もきっとそれを望んでいる、と思うからである。

 従って、鍛錬の描写をするのでも、内容を選ぶことにした。変化のない鍛錬については「書かない」ことに決めた。そのとき一緒に組んだ仲間たちには、義理を欠くことになる。ただしそれは発表をしないだけである。せめて私のノートに、彼らとの一期一会の思い出を書き記しておく――それで勘弁して貰うことにしよう。


 私は38レベルになっていた。いつものようにLeeshaを連れて、仲間を誘った。募集には時間がかかるときもあるし、かからないときもある。今回は後者と言っていいと思う。ものの30分とかからぬうちに、6人メンバーが揃ってしまったからである。彼らを紹介しよう。

 タルタルのMilk(ミルク)。赤魔道士38、白19レベル。
 ガルカのDuan(デュアン)。狩人39、戦士19レベル。
 エルヴァーンのHarold(ハロルド)。黒魔道士37、白18レベル。
 ヒュームのCharious(チャリオス)。ナイト38、戦士19レベル。

 我々はクロウラーの巣で獲物を狩っていた。例の脈打つざくろの広場で、クロウラーを倒すのである。ただしここのところ盛況で、ライバルのパーティが大勢おり、獲物を見つけ出すのさえ困難である。我々は標的を変えて、少し奥へ潜り、硬い甲羅を持つかぶと虫などを相手にしていたが、そのおりちょっとした間違いがあって、全滅の憂き目にあってしまった。攻撃魔法がかぶと虫ではなく、近くに群れていたケイブ・ベリーに作用してしまったのである。


胞子を撒き散らす植物。
巨大キノコ?

 我々は全員ジュノで復活したが、さてまた同地へ引き返すには、チョコボ代は高くなり過ぎているし、現場は人が多すぎるのだった。お金のかからない場所ならどうだろう。つまり、移動魔法テレポで飛べるようなところは? 幸い、みんなルテのゲートクリスタルを所持していた――アルテパ砂漠にあるワープポイントだ。Leeshaの魔法で現地につく。アルテパ砂漠はかつて徒歩で横断した場所だ。しかしモンスターを倒す狩場としては初めてである。果たしてかつての強敵たちは、今もなお我々の脅威であり続けているだろうか。

竜巻。右下はMilk

 ゲートクリスタルの魔法陣の上にたち、周囲を見回すと、すぐ近くを蟻獣人アンティカがうろついていたので、ぎょっとして飛びすさった。幸い、襲われるような距離ではなかったが。よく調べてみると、奴らは私と同じか、それより少し強いくらいのレベルである。もちろん種類によるのだけれど、アンティカを倒せる領域に入りつつある、というのは、やはり嬉しい。一つの壁を越えるような達成感を感じる。

 当日のアルテパには、恐ろしく強い風が吹き荒れていた。海に面しているからだと思う。黄砂が吹き上がり我々を襲う。顔に砂粒がぱちぱちと当たり、磨るように痛い。そういう状況では目も開けられぬ。ようやく瞼を細めて眺めたらば、砂の山の連なりの向こうに、ろくろのような竜巻が、天に届けとばかり屹立している。我々は感嘆の声を漏らしたのだが、さりとて近くへ行ってみれば、砂の粒に襲われるばかりだ。空に吹き上げられなくて本当によかったと思う。

 このレベル帯では、デザート・ダルメルを倒すのがいい、と聞いている。ダルメルは目立つから見つけやすい。しかし、微妙にレベル帯が的を外れていて、妙に強すぎるのとか、弱すぎるのとかしかおらず、効率という点では芳しくない。ただしライバルが少なく、自由に狩りが出来るという点では、開放感があったと思う。特にこれまで、かび臭い虫の巣穴にばかり潜り込んで、胸の悪くなるような戦いを続けてきた身ならば、空気の澄んだ広い場所に来たというだけで、大いに気分が晴れるものだ――たとえ砂粒に叩かれ、日に焼かれて、後で顔のひりひりに悩まされたとしても。


アルテパ砂漠の夕日

 我々はラバオに行って解散した。Leeshaと一緒にチョコボに乗って、砂漠を見てまわる。アルテパは広くて、恐ろしく強いのと、そうでもないモンスターが混在している。今では怪物の如きこれらの敵も、私が成長していけば、いつか互角に渡り合えるようになるのだろうか?

(04.01.14)
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