その222

キルトログ、グスタフの洞門でコウモリを狩る

 近ごろは積極的に鍛錬をしているせいか、順調にレベルを伸ばしている。レベル40が目前となったこの時に、私はグスタフの洞門で狩りをしてきた。

 グスタフの洞門というのは、バルクルム砂丘からヴォルボー地方へ抜ける洞窟である。隠れ海岸を見つけたとき少し言及したので、あるいは覚えている読者もおられるかもしれぬ(その186参照)。当時は、レベル40辺りの冒険者の狩場だと聞いて、慌てて逃げ出したのだが、時が立ち、いま自分がその強さになって戻ってきたのを考えると、感慨深いものがある。自分ではちっとも変っていないような気がするのだが、積み重ねた鍛錬の成果は着実に出ているのだ。


 私はジュノにいて人間を集めた。タルタルのPiccolo(ピッコロ)(吟遊詩人39、赤19レベル)は、用事があるので早めに抜けるつもりだ、という。同じくタルタルのFernando(フェルナンド)(赤魔道士38、白19レベル)に、無理を言って協力して貰う。ミスラのSnowwhite(スノーホワイト)(狩人38、戦士19レベル)は、37レベルのシーフとして募集を待っていたが、諦めてジョブを変えたところを私が声をかけた。最後の戦士は紆余曲折を経て、エルヴァーンのNox(戦士38、モンク16レベル)に決まった。遠征軍に参加したLandsendの友人である(その220参照)。

 FernandoとSnowwhiteも顔見知りらしい。世界なんて案外せまいものだ。この4人に私とLeeshaが加わる。奇しくも5種族が揃ったうえ、全員ウィンダス人という珍しい構成となった。


 砂浜から入り口が開いているせいで、洞門内は潮の臭いに満ちている。塩のような砂の道が、ゆるやかに下りながら曲がっている。ほどなく行くと先客がいて、同じリンクシェル・グループと思しき一団が、ホーカーという名の巨大トンボと一戦を交えている。我々は彼らの少し手前に陣取り、獲物を引っ張ってくることにした。Snowwhiteが尻尾を振りながら奥に向かって駆けてゆく。

 我々はヘル・バットというコウモリを目的に来た。あるいはゴブリンでもよい。しかし先客のパーティがあらかた狩ってしまって、ホーカーくらいしか残っていないという。トンボでも構わないよ、とSnowwhiteに言った――それが失敗だった。この昆虫は恐ろしく手強くて、我々は武器を捨てて逃げ出す羽目になった。しかし入り口は遠い。道は一本だが、ゴブリンが徘徊しているような場所までは、思ったより中まで踏み込まないといけなかったからである。

 このとき強引に回復魔法を使って、標的になってしまったのがLeeshaだった。どうやら意図的にやったものらしい。外の光がもうすぐ届く、という場所で、彼女は倒れた。我々は外へ避難した。また無茶なことをする、と私はLeeshaを叱ったのだが、彼女は平気で、全滅は免れたからよかったのだ、と態度を改めようとしない。こう言われたら私も返す言葉がない。同じ状況なら自分も、敵をひきつけ、ひとり倒れて本望と笑ったかもしれぬ。ただし、頑丈で体力も多いガルカが盾役をするのと、装甲のうすい白魔道士がやるのでは勝手が違う。今回は相手が悪く、正直ホーカーの攻撃に耐えられそうにもなかったけれど、やはり敵の攻撃を受け止めるのは、前衛の方がよいと思うのである。

「まあ、避難勧告は早くするべきだな」

 この点に関しては意見が一致した。我々は狩りに戻った。


コウモリを相手にする
槍を構えるNox。
(左はPiccolo)

 幸いにも、先客のパーティが移動したので、我々が狩場を独占するかたちになった。次々に冒険者が姿を現して、奥へ向かって走ってはいくのだが、入り口に留まって、コウモリだの、ゴブリンだのを相手にしようというパーティはいない。おかげで我々は効率よく鍛錬が出来た。切り上げる筈だったPiccoloも、予定を返上して留まったほどである。

 残念ながら時間が立つうち、だんだん人が集まってきて、効率が悪くなってきた。ちょうど最後の戦闘が終わったとき、私がレベル40になった。Leeshaは単独で冒険したとき、二度ほどモンスターにやられていて、今回も一度戦闘不能になったわけだから、そのぶん私と少し経験がひらいている。まあ大した差ではないし、このさき私が死ぬこともあろうから、特に気にするようなことでもないのだが。


 狩場を離れて戻るには、テレポを使うのがよい。どうせならゼプウェル島へ行こう、と誰かが言い出した。ラバオに、40レベル以下のパーティ6人で受けられる仕事があるという。全員がそのクエストを未経験だった。チョコボを使えばはやく終わるというので、私も賛同した。思えば辺境で仕事などこなすのはこれが初めてかもしれない。

 Leeshaの魔法テレポヨトで、我々はアルテパ砂漠へ向けてジャンプした。


(04.01.20)
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