その230

キルトログ、デルクフの塔で駐在大使を探す(2)

 敵陣を一人突破して、Gorasが我々に追いついてきた。

 Gorasは塔の中を楽に歩き回れる強さである。コウモリの代わりに彼が先頭に立った。下層から中層に上がると、敵の種類もいくつか増えてくる。巨人やコウモリに加えて、ゴブリンや、機械人形の姿もちらほらと見られる。機械人形というのは、どうやら古代人が作ったらしいロボットで、魔力を感知するや否や、こちらを敵と判断して襲い掛かってくる。ロ・メーヴで目撃したものとよく似ているが(その183参照)、このカオス・アイドルは随分レベルが劣るようだ。

 他に、マジック・ポットという、宙に浮かぶ壺も徘徊している。役割はカオス・アイドルと似たようなもので、やはり魔力を感知して「敵」と認識する。古代人はそれほど魔法を警戒していたのだろうか。


機械人形カオス・アイドル

 気づいたら、Urizaneがずいぶん後ろにいた。置き去りにしてしまったような格好だが、「そちらの用事を優先させて下さい」と言って送り出した。Urizaneは我々に激励の言葉をかけたあと、名残り惜しそうに振り返りながら、塔の道を戻っていった。

 我々は中層から上層に入っていく。Gorasが来てくれたから不安がずいぶん減った。実力から、彼は身を隠す必要がないので、コウモリの代わりに目印となって進む。自ら偵察を買って出て、前方の安全を確認してきたりもする。慎重かと思いきや案外乱暴で、獣人や巨人がいたときには、後続が絡まれては面倒くさいと、剣を抜いて次々に切って捨てたりしている。

 そういう用心棒としてのGorasも頼もしいが、道を知っているのが何よりありがたい。私は彼の後をついて歩くだけである。何階だか、フロアの床の中央に大きな穴が開いていて、「そこに絶対落ちないように!」という厳重注意が下る。覗き込んだら下の階が見えた。オズトロヤ城の仕掛けの前例があるから、必要以上には近づかない。くわばら、くわばら。


 我々は遂に上層に入る。これから先は、デルクフの塔の中でも最高層に位置する。心なしか空気がひんやりとしていて、サーメット質の柱や、徘徊するゴブリンなどが、白い霞の向こうに、灰色の影となって浮かび上がっている。

 扇形の扉の前へ来た。真一文字に走った小窓の隙間から、巨人の黄色い肌が見える。手を触れると、扉が上にスライドした。Gorasは両手斧を抱えて、巨人に殴りかかっていく。

 そこは広間になっていて、何人かの巨人が徘徊している。我々の入ってきた扉を除けば、出口らしきものはない。床に直径3メートルほどの円形の溝が掘られている。タルタルの冒険者がひとりいて、巨人たちと死闘を繰り広げている。

ポルフィリオンという巨人を探しなさい」とGorasが言う。
「身体が紫色をしている筈です。ハンターがいるから、見つかりにくいかもしれないけど」

 ハンターとはタルタル氏のことらしい。厳しい連戦をこなしているのだろう、相当疲労している様子で、そのうちにうずくまって休憩をとり始めた。我々はよい機会だと張り切って武器をふるう。霞の向こうに、一際大きな影を見つけた。紫色の皮膚に、稲妻を思わせる縞模様の走った、頑丈そうな巨人が、雷鳴のような彷徨を挙げて、我々に襲いかかってきた!


ポルフィリオンとの対決

 ポルフィリオンが地響きを上げて倒れた。我々は歓声を上げた。死体の腰に、手のひらほどの長さを持つ、釣り針のようなかたちの鍵がじゃらじゃらと下がっていた。「デルクフの鍵をお取りなさい」とGorasが言う。「これを円の中で使うんですよ……そしたら地下へ行ける……」

 11階まで上がってきて、今度は地下か!

 全員で輪の中に入った。ぐるんぐるんと世界が回転したと思ったら、我々は果てしなく続く、螺旋階段の天辺に立っていた。


 階段の途中に踊り場は見えない。我々はここをひと思いに駆け下るのだ。先生、目を回さないで下さい、とRodinが忠告をくれた。彼女は私のことを先生と呼ぶのである。

 走って、走って、何とか転がらずに、下まで到着した。脳がくらくらとしている。邪魔をする獣人たちを切り捨てながら、東へと進む。南北に細長い広間に出た。東壁から短い3本の通路が伸びており、それぞれ扉に突き当たっている。Gorasは言う。いずれかの扉の先で、私の求める人物に会うことができるだろう。

「一番目の扉」
「北ですか」
「逆です」
「じゃあ、南ですね」
 
 Leeshaが傍らに駆け寄ってきた。扉を押したら難なく開く。本当に大使がいるのか? そうなのだとしたら、塔の獣人や巨人たちによって、虜囚の身にされてしまったのだろうか?


(04.02.15)
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