その288

キルトログ、ボストーニュ監獄でコウモリを狩る
ボストーニュ監獄(Bostaunieux Oubliette)
 ドラギーユ家の暗部として知る人ぞ知る、王都サンドリアの地下に築かれた広大な地下牢。
 サンドリア城の長い歴史と共に増築され続け、主に身分の高い国事犯が収監されてきた。
 厳重に警備されており、かつて脱獄に成功した者は皆無である。
(ヴァナ・ディール観光ガイドより)
 私は順調にレベルを上げて、近ごろ戦士49になった。ひと思いに50にせんと思ってまた鍛錬に出かけてきた。

 白魔道士のLeeshaと、吟遊詩人のSteelbearが一緒なので、人間は比較的集めやすい。今回は意図的にガルカの人も誘ってみた。すると、ガルカ3人女性3人という奇妙な取り合わせになった。

 ガルカのZenki(ゼンキ)。忍者49、戦士24レベル。
 ヒュームのSinon(シノン)。赤魔道士48、黒24レベル。
 ミスラのNeogeo(ネオジオ)。シーフ49、戦士24レベル。

 さて、美女と野獣が連れ立って、どこへ行くのか相談したところ、Leeshaの提案により、サンドリアのボストーニュ監獄に決定した。

 ボストーニュは多数の政治犯を収容してきた場所である。長い一族支配の影には、うしろ暗いところも多々ある。ドラギーユ城の地下という立地条件は、いかにも象徴的ではないか。かくて同地は怨念と妄執の巣窟となり、人々に格好の幽霊話を提供している。

 私が以前、魔晶石の記憶を覗いたとき、サンドリアの騎士フランマージュが最期を遂げたのが、この場所ではなかったか。長い石造りの廊下を歩きつつ、その確信を深めた。照明はうす暗い。左右に格子の太い牢が続いている。中にはちらちらと囚人の姿が見えるが、気力が失せているのか、声をあげる様子はない。この廊下の部分は、一般の観光客に開放されていることからして、ドラギーユ王家にとっても「見せていい部分」に過ぎないはずだ。はたして通路の奥に行くと、床に蓋のある小部屋に行き着いて、衛兵に誰何された。下には恐ろしいモンスターが出るという。我々が中に入ったらぴったりと閉められてしまう。どうやら自己責任で行け、ということらしい。


両脇に牢屋が続く
蓋のある小部屋。
左手奥が衛兵

 衛兵の言うように覚悟を決めて下に降りたら、真っ先にスライムに攻撃を受けた。たちまち切り合いになって何とか倒したが、これははたしてケチのつけ始めか、それとも幸先のいい勝利なのか。

 我々の標的はコウモリである。いざというとき逃げやすいように出口近くのを狙う。そういうわけでボストーニュの中を駆け抜けていったわけだが、こちらは確かに空気が澱んでいて、死霊、とりわけ屍犬やゴーストのたぐいが群れている。時おり見かける水路の水も濁り、くさい。道中に囚人の姿を見ることはなかった。こんな場所に放り込まれたら、たちまち血も肉もすすられてしまうだろう!

 呪われた監獄を訪れるような物好きは、冒険者くらいのものだ。その通り、我々の目的の場所には、ヒュームの獣使いが一人いて、スライムをペットに、コウモリに対して攻撃をくり返していた。


 ボストーニュ監獄は一般的に、50前後のレベルでは、あまり狩場として頻繁には利用されないようだ。一番の理由は収容人数の少なさである。パーティがひとつ入ったらすぐ塞がってしまう。獲物のコウモリは4、5匹ほどしかいないので、複数のパーティで分け合うほどには多くないのである。

 従って、獣使い氏が活動している間には、釣り役のNeogeoも、かなり遠くまで探しに行かねばならなかった。「お化けばっかり!」と彼女が吐息をつく。獲物がいないのなら、そのお化けを狩れないだろうか、と私が言うと、Zenkiが、とてもじゃないがそれは無理だ、と答える。少し考えてみたらわかることだが、そもそも6人がかりでコウモリを倒しているような状況では、それより明らかに手ごわいはずの屍犬やゴーストに――スライムはともかく――とうてい太刀打ちできるわけがない。

 この問題は、やがて獣使い氏が去ってしまうことで決着を見たのであるが、追い出したような格好になってしまったので、Steelbearがしきりにすまながっていた。しかし彼も、戦闘のときには元気にコウモリを殴りに参加した。Neogeoが釣り、Zenkiが受ける。私とZenkiが、刀と両手斧で2連携を決め、SteelbearとNeogeoが別の連携を繋ぐ。隙を見てSinonがファイアで焼き払う。

 コウモリには珍しいことだが、このワー・バットは、好戦的(アクティブ)でこそあれ、互いにリンクをすることがない。複数が絡んでくることがあるとしたら、戦闘中に近くを通りかかったときくらいである。従って、決定的なピンチはほとんど無かった。そのときのために出口近くに陣取っているわけだったが、いずれにせよ安全であるのに越したことはない。


コウモリを狩る

 私もLeeshaも、惜しくも50に届かなかったが、効率の良い狩りで、実りは多かった(Steelbearはレベルアップした)。狩りが終わると我々は出口に抜けた。ロンフォールのがけ口に洞窟が開いていて、そちらへ抜けられるようになっているのだった。我々はサンドリアへ戻り、広場で手を振り合って別れた。

 それにしても、監獄から抜け道が続いているというのもおかしな話である。かつてボストーニュから脱出した者は一人もいないそうだが、その理由はやはり、死霊を避けていくことが困難だからなのかもしれない。だとしたら、あの気味の悪いゴーストたちも、王家にとっては必要悪ということなのだろうか。


(04.08.22)
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