その298

キルトログ、プルゴノルゴ島を観光する

 私とLeeshaは港にいる。GelgelとHollandinたちが、魔行船に乗って沖へ出て行くのを、手を振りながら見守っている。私たちはしばらく観光をしていく、と言って残った。プルゴノルゴ島について、ガイドのミスラはこう説明している。「地上最後の楽園」――ならば、島がどれだけ美しいのか、しかと確かめて帰りたい。それに私は、Senkuの激賞をじかに聞いているのだ。

 やがて船は湾の陰に消え、水平線の彼方へ滑って行った。迎えの便が来るのは半日後である(注1)。魔法で帰るのでなければ、その間ゆっくりできるわけだ。さっそく島の中を探検してみることにしよう。

プルゴノルゴ島

 プルゴノルゴ島の印象は、南国の孤島と言っていいと思うが、エルシモのユタンガ大森林のように、のしかかって来るような生命力に支配されていない。海が開けているから、風の通りもいい。潮風に気持ちが洗われる気がする。島一面が白い砂で覆われ、そこから突き出した岩は、緑色の苔を冠している。羽ぼうきみたいなヤシの木。森の向こうに頭を覗かせるトコペッコ山。砂浜の上には、海の水が流れ込んで、小さな潮溜まりを作っている。沖はエメラルドの色に輝く。ガイドの言葉にいつわりはなかった。まさしくここは、地上最後の楽園だ。

 もちろんこの島にも、モンスターの姿をちらちらと見かける。代表的なものはウラグナイトである。やどかりが大きくなったような姿をしており、背中の甲羅には、地図を思わせる苔を宿している。もともとウラグナイトは、養殖用に品種改良するため、巨大化魔法をかけられた生物らしい。両体側にきょろりとした丸い目がついており、顔は蛸か烏賊のようだ。性質はおとなしく、積極的に攻撃して来ることはない。35レベル相応ではあるが、その強さ――強力な毒を噴射する――は、自衛のために温存しておかれる。


ウラグナイト

 話に聞いていた、潮干狩りというのをやった。港に立っているミスラに500ギルを支払い、バケツを借りた。砂浜で穴を掘りなさいという。目印は貝殻が落ちている場所(注2)だそうだ。熊手はなく、私たちが素手でやらなければならない。それでも掘っているうちに面白くなって、あちらこちらと砂浜を歩き回った。戦利品は、石つぶてが最も多く、次いでビビキースラッグや、ジャックナイフという生き物が続いた。ご存じのように私の妻は料理人であるから、この水産物をどう料理してくれようという方面に、頭がいっているようだった。彼女の話によれば、釣りでも競売でも見たことはないという。

 潮干狩りは唐突に終わった。Leeshaのバケツの底が、唐突にぼっさりと抜けてしまい、戦利品がみんな駄目になってしまったのだ。こんな顛末になることを、ミスラはちっとも説明してくれなかった。ここでようやく、Senkuの言っていた意味がわかった――欲深になると損をする、見極めが肝心。なるほど。上手くバケツの底を抜かないうちにやめないといけない。私のバケツは大丈夫だったので、ミスラに話して、戦利品を出してもらった。なまものは全てLeeshaに行く。私は石つぶてをポケットに入れ、ウラグナイトに投げつけ、試しに戦闘をやってみたりしていた。

 やがて太陽が、南中から西に向かって傾き始め、プルゴノルゴ島の空にも、徐々に変化が訪れ始めた。私はSenkuのもう一つの言葉を思い出した――西海岸の夕陽の美しさ。待てよ、あれはプルゴノルゴ島のことだったか。それともビビキー湾の西海岸だったかな。

 Leeshaにその話をして、とにかく島の西側へと、一緒に走っていった。西岸は美しい砂浜だった。左右から突き出た岬が中央で向かい合い、小さな湾を作っている。そこに海の青と、砂の白と、空の赤とが溶け合い、やがてオレンジの太陽が落ちてきて、かすかに覗く水平線に沈むのだった。

「きれい!」

西岸の夕陽

 迎えの船が来るまで、港にて待った。プルゴノルゴ島の美しさを、興奮気味に話しながら帰った。夕照桟橋に戻る道中というのも面白くて、沖の向こうに大きな渦を見たり、いかだの回りを跳ねイルカが追いかけてきたり、様々な自然の趣向を楽しんだ。だがもうお腹いっぱいだ。暫くはモグハウスにおいて、楽しい島の記憶を反芻することにしよう。

注1
 ヴァナ・ディール時間。現実時間では約30分。


注2
 
画面上に貝殻があるわけではなく、砂浜上のチェックポイントを探す形式です。一つのポイントは一度だけ有効です。採掘と金魚すくいが合わさったようなゲームです。

(04.10.13)
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