その309

キルトログ、埋められた割符を探す

 星忙祭が過ぎ、新しい年がやって来た。今年のシンボルは鳥である。モグハウスに届いたペーパーによれば、三国の隣接地に幸せの鳥が訪れているという。一年の計を占うためにも、ぜひそのありがたい姿を拝みたいものである。

 ところで鳥の記事の隣に、モーグリとゴブリンの確執について触れたニュースが載っていた。どうやら両種族は、東洋のお札をかけて争っているらしい。ここまで読んだところで、私はジュノのモグハウスを出、サンドリアへ向かった。目指すはゲルスバ砦である。金庫内に山砦の箱のカギがずっと眠っており、場所をとって邪魔なので、新年を機に片付けてしまおうと思ったのである。


 日暮れまで丁寧に探したが、宝箱は見つからなかった。徒労感を抱いたまま、私はサンドリアに戻った。出て行くときはあまり気づかなかったが、街は星忙祭の衣を脱ぎすて、新年の装いを新たにしていた。もっとも装飾としては、外門とモグハウスの前に、東洋の門松が目立つくらいで、先のイベントに比べるとおとなしい印象は否めなかったのだが。


門松

 くだんのモーグリが競売所前にいた。スマイルブリンガーの補佐をしていたときと同じ場所なので、ともすれば年末からずっと浮かびっぱなしだったかに見えるが、傍らにチョコボを連れ出し、手綱を握っているところが以前と違う。モグハウスでおとなしくしている彼らが、このような態度に出ることは珍しい。ゴブリンとの確執とやらは相当深刻な様子である。私は改めて彼から話を聞こうと考えた。

 モーグリは言う。ゴブリン族と勝負をしたのである。天晶堂から仕入れてきた東洋のお札を、モーグリはあちこちの土地に埋めた。穴掘りの習性があるゴブリンが、首尾よくそれを集められたらゴブリンの勝ち。奴らに見つからず、隠し場所を守りきったらモーグリの勝ちである。獣人たちの争いが、このような平和裏なルールで行われるのは珍しい。何かと血なまぐさいヴァナ・ディールにおいては、一服の清涼剤にも思えるニュースである。

 ところが話はそう簡単にいかなかった。あろうことか、ゴブリンは人海戦術を用い、大勢で札を探し始めたのだ。しかもそのうちのことごとくがチョコボに乗っているという。一対一と思っていたのに卑怯クポ、とはモーグリ君の言い分である。そこで彼は、冒険者を雇い、ゴブリンが掘り出しに来る前に札を回収してしまおうと考えた。つまり、私とLeeshaの出番である。彼女の話によれば、三国の周辺ばかりではなく、ラテーヌやコンシュタットなど奇岩のある土地、はてはジュノ近郊エリアにまで、札は埋められているという。

 とりあえず、ダイコクの割符ビシャモンの割符ベンテンの割符を集めてこいと言われた。札に冠されている名前は、すべて東洋の神様のものらしい。

 地面を凝視しながら西ロンフォールを回り、札が埋められていそうな痕跡を探す(注1)。ときどき地虫の掘りあとと間違えるので、注意が必要だ。私たちは二手に分かれた。私が北、ゲルスバ野営陣入り口方面へ、Leeshaが南、騎士の泉の周辺へ向かう。南から声があがる。チョコボに乗ったゴブリンライダーが、目の前で札を掘り取って行ったそうだ。私も周囲に目をこらしたが、バード・オブ・ピースというありがたい名前の鳥が、ばっさばっさと眼前を通り過ぎていったくらいで、穴らしい痕跡などまったく見つからない。どうやらこの鳥、失せ物・探し物に関してのご利益は薄いようである。

ゴブリン・ライダー

 このときLibrossと交信して、モーグリの札を集めていることを告げると、彼はため息をついて、アアあれは自分も大変苦労した、札一枚見つけるのに4日もかかってしまった(注2)と言った。彼はわざわざサンドリアにまでやって来て、私たちを手伝ってくれたのである。そのうち彼のエルヴァーンの友達や、Steelbearまで増えて、大人数でラテーヌへ、ラテーヌからジャグナー、バタリアへと移動する一大旅行となった。

 私が初めて穴を見つけたのは、実にラテーヌ高原へ入ってからだった。埋め跡を探ってみると、地虫がにゅるりと頭を出し、私にバインドをかけてさっさと潜ってしまった。埋め跡のいくつかには、このように地虫が潜んでおり、足止めを食らわせることがある。仲間は着々と札を集めているのに、私だけハズレばっかり引いている――もっとも札は頻繁に同じものが出てくるので、割符だけはどんどん貯まってくるのであるが。


 モーグリの埋めた割符は全部で7種類ある。既出のものを除くと、ジュロウジンの割符エビスの割符フクロクジュの割符ホテイの割符である。ひとつのエリアから出てくる札にはある種の傾向があり、ジュノに近くなるごとに、後者が出やすくなっていくようだ。したがって私たちは、バタリア丘陵ですべての札を揃えることができた。別にモーグリは、全部もってこいとは一言も言ってないわけだが、まあ全種そろえておいて彼も悪い気はしないであろう。

 サンドリアに戻り、約束の3枚の札を渡すと、モーグリは感激して、これでゴブリンの鼻をあかしてやれるクポ、と息をあらげる。お礼に門松をもらった。これは昨年暮れのミニチュアツリーと同様、寝室に飾れるものである。

 残った4枚の札で、私はラビットベルトを手に入れた(ホテイの割符は必要なかったようだが)。これは魔法の腰巻きである。装備後に道具として使用すると、何とうさぎに変身することが出来るのだ。

 王都では各所でうさぎがはね、マンドラゴラがちょこちょこ走り、地虫がゆらゆら揺れている。さながらハロウィンがもう一度来たかのようである。後者2点のベルトは、同じ札を使って、ウィンダス、バストゥークで交換してもらえるという。モーグリとゴブリンの戦いは長く続くまい。私もまた近いうち札を集めて、このゆかいなベルトを3つ、ぜひともそろえたいものである。


ぬいぐるみコンビ。
左がLeesha、右が私

注1
 OverturnedSoilという名前のポイントをチェックすると、パーティの人数分の割符が出てきます。割符は種類ごとにそれぞれ1枚づつしか持てません。ゴブリンライダーに先を越されたOverturnedSoilは無効になります。

注2
 ヴァナ・ディール時間。現実時間で4時間。


(05.01.08)
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