その346

キルトログ、プロミヴォン・デムを探索する(1)

 Leeshaに頼み、デムの岩へ運んでもらうことにする。それと同時に、プロミヴォンに関する情報を集めた。友人たちは大半が、異空間の存在を知っている。奥に強い親玉がいる、という話を聞いたので、仲間をつどい、パーティを作っていく。
 すなわち、

 戦士のKiltrog
 黒魔道士のLeesha
 狩人のSuurbier
 狩人のUrizane
 召喚士のLandsend
 吟遊詩人のSteelbear

 以上の6人である(注1)


 テレポで飛んだ先のクリスタルは、変わらぬ輝きを放っており、ヒビの一つも見えなかった。だが、台座は3つあったはずだ。隣を見に行ってみたら、クリスタルは見事なまでに粉々になっていた。足元に破片が散乱し、きらきらと輝いている。

 無残に壊れたクリスタルの根元に、緑色の奇妙な渦が巻いているのに気づいた。私はそこに手を伸ばした。とたん、ぐいと引っ張られるような感触がして、私は眩暈を覚え、一瞬気を失った。

 目を開いてみて、あっと驚いた。コンシュタットではなかった。サーメット質の広間である。瞬間的に連れてこられたらしい――ここは、デム岩の中なのだろうか?

 正面に上り階段が伸びている。両脇に奇妙な装置があり、左右対称を成している。階段は10段ほどでサーメット質の扉に突き当たる。引いても叩いてもびくともせぬ。鍵穴もない。どうやら別の原理で開閉するようだ。私は階段を下り、最初の位置に戻った。
 左の装置を調べてみた。床の円を取り囲むように、左右に袖があり、頭上に二重の輪が下りている。材質はすべてサーメットである。こわごわと円の中に入ってみる――何も起きる気配はない。

 装置の中にクリスタルのようなものが見えたので、何気なく手を触れてみた。すると、それが青色に輝き始め、装置内が光に満ちてきた。私はその洗礼を受けた。強い光が、両目から中に入り込んできて、脳をぐらぐらと揺さぶった。不愉快な感触だった――特別支障があったわけではないが、どうやらこの装置は、人の心の内まで踏み込んでくる、危険な性質を持っているようだ(注2)

装置

「うわああああ!」
 悲鳴が聞こえて、両扉が開いた。見慣れたローブを着た男が二人、駆け出してきて、階段を転げ落ちた。アルマター機関の制服だ。彼らの頭には、黒い霧のようなものがまとわりついている。
 私は装置を出て、彼らに近づいた。二人は床に転がっている。死んでいるのは一目でわかった。何かにまるごと齧り取られたように、胸から上がそっくり無くなっているのだ。
 私は嘔吐をこらえ、階段の方へ退いた。
 扉が開いている。中は真っ暗で見えない。単なる闇なのか、あるいは……。一瞬躊躇したが、錬金術師の話を思い出した。この向こうには世界が広がっているはずである。入るのは自分が初めてではない。
 思い切って足を踏み出した。
 闇が私を包みこんだ。



 Kiltrog……

 呼び声がする。
 何だ、と大声で叫んだが、こだますら返ってこなかった。


 ……さあ、還ろう……

 どうやら仲間の声ではない。私を包む暗黒の、空間全体からかすかに響いてくるようだ。

 ……闇に溶け……闇になろう……

 幽鬼のような声だ。私は恐ろしくなった。

 ……それこそが……おまえの……

 声が途切れ、黒い霧が晴れた。
 私はプロミヴォンに立っていた。


プロミヴォン(注3)

 ヴァナ・ディールを旅して数年になる。この世界で不思議なものをいろいろ見てきた。しかし、プロミヴォンの異様さは筆舌に尽くしがたい。ここが次元の違う場所であることは、降り立った瞬間からわかった。

 空は暗い。夜空と言っていいかどうかわからぬ。というのは、プロミヴォンには昼夜の別がないようだからだ。頭上に金色の、水晶玉のような月が浮かんでおり、ゆっくりと流れている。星は見えないが、何やら霞のようなものが、空にたなびいているようだ。あれは雲なのだろうか。
 私は目を落とし、前方に目をやった。
 地面全体が、月と同じ輝きを放っている。ところどころに建築物のようなものが見えるが、よく見ると地面と一体化しており、同じような光に包まれているのがわかる。建築物と思ったのは無理もない。私にはそれが風車に見えた。ただし実物と違うのは、長い年月で朽ちたか、酸に溶かされたのように、細部がぼろぼろに崩れていることである。あるいは……空間に侵食されたのであろうか?


 地表を調べる。サーメット質のようにも見えるが、実際にはずっときめ細かくて、表面に繊維層が浮かび上がり、レース柄のような模様をかたち作っている。足を運ぶと、かすかにさくさくという音がする。私は縁まで歩いてみた。というのは、紙が破れているかのように、目の前で唐突に地面が切れていたからだ。

 縁に立つと、広い空間が見渡せた。そこからの眺めも、寒気がするほど非現実的だった。我々が立っているのは、どうやら島のようなものらしい。同じような“島”が、互いに少し距離を置いて、闇の空間にたくさん浮いているのだ。動いている様子はないから、足場としては安定しているようだが、互いの島をつなぐ橋は見えない。我々はどうやってあちら側へ渡ればよいのだろう。

 ともあれ、前に道が続いている。時間が経てばこの空間に慣れるだろう。私はそう思っていた。だが実際には、プロミヴォン世界の不可解さを、まざまざと思い知らされる羽目になったのだ……。


注1
 プロミヴォン内ではレベルは30までに制限されます。


注2
 入り口の装置では、当該プロミヴォン内に関する記憶の封印を行います。プレイヤーは原則として、ひとつのプロミヴォンを攻略しないまま、次のプロミヴォンに入ることは出来ません。もしそうしたい時には、この装置を使って記憶を封印する必要があります。
 通常、扉を調べるとプロミヴォン内に入れますが、初めて来たときには装置を調べないといけません(イベント終了後中に入れます)。
 

注3
 本番でのSS(スクリーンショット)の何枚かが散逸してしまったため、あらかじめ行った予行演習(ENM戦)のものを転用しています。シーンは変わりませんが、写っているメンバーが本文と違うことがあります。ご了承ください。


(05.05.03)
Copyright (C) 2002-2005 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送