その350 キルトログ、プロミヴォン・メアを探索する Kiltrog…… すべては、移ろう…… 闇に還り、闇となれ…… それこそが、お前の……
謎の囁きが止まった。 私は周囲を見回した。デム岩のときと、眺めはそう変わらない。空は暗く、“島”が幾層にも連なっているのが伺える。大きく違うのは、全体の色合いだ。月は水色、地面も青白いため、どこか寒々しい、冷たい印象を与えている。 デムで見た風車は見つからなかった。そのかわりに木が生えている。足元には草むらもあり、かすかに緑色を宿している。そこだけ見れば、月明かりのサルタバルタに見えないこともない。 プロミヴォンの世界は、土地の形相を反映しているのかもしれぬ。デムに風車があったのは、そこがコンシュタットだったからでないか。もっともタロンギに緑は少なく、その点で説得力にやや欠けるわけだが、大峡谷は昔、緑豊かな土地だったことがわかっている。過去の記憶に基づいた世界だとしたら、説明がつかないことはない。 だが――だとしたら――それはいったい、誰の記憶なのだろう? プロミヴォン・メアに臨むのは、以下のメンバーである。 戦士/忍者のKiltrog 戦士/忍者のRagnarok 狩人/忍者のSif 白魔道士/黒魔道士のLeesha 召喚士/白魔道士のLandsend 吟遊詩人/白魔道士のLibross 突破の方法は、前回でほぼわかった。光球を倒して渦を招き、奥の層へ向かう、3種のプロミヴォンにおいては、どこへ行っても変わらないようだ。記憶の一塊は手に入れたから、アニマのために時間を費やすこともない。ひたすら前進あるのみである。
メアの城に到着し、ボスと一戦交えた(注1)。 メアの城にいたのは、ひょろりと長い足を持つ「虚ろなるもの」だった。ダルメルの背丈くらいはある。丁度頭の位置に、奴のコアが輝いており、色が水色であることからして、水か、あるいは氷の属性だろうと、Landsendらが話し合っていた。 私とRagnarokは、伐採するように斧を使い、ボスの足を狙った。じりじりと体力を削り、一息に勝負を仕掛ける。この戦法は、デムの岩でも使ったものだった。最初から飛ばしていくと、敵が苦し紛れに強力な技を連発してくる。メアのボスの技は回転木馬と呼ばれるもので、ぐるぐると回された前足が、我々前衛を吹き飛ばす。空蝉の術をしっかりかけて対処する(注2)。耐える、耐える。Ragnarokに集中攻撃が行ってしまい、瀕死の状態になったが、何とか彼がやられる前に片付けることが出来た。 ボスを倒すと、ワープの渦が登場する。ここまでもデムと同様である。やはり例の部屋に繋がるのだろう、そう思って飛び込んだら、果たして大広間――母なるクリスタルが煌々と輝く、奇岩の心臓部に到達したのだった。 私は周囲を確認した。ナグモラーダたちの姿はない。代わりに、クリスタルの真正面に倒れている、小さな人影がひとつ。 例の少年だ。 私は駆け寄ろうとした。そのとき唐突に、両目をちかちかとした光が襲って、有無を言わさず白昼夢へと引きずり込まれた。 まただ。 私は空を飛んでいた。吹雪の野である。ホルトト遺跡のような建物が眼下に見える。とするとここは、ボスディン氷河の上空なのだろう(その238参照)。 私の意識はつばめのように滑空して、遺跡の中へ飛び込んでいった。ヒュームの女が一人、横たわったまま空中に浮いていた。デムの白昼夢で見た巫女ではない。彼女はローブを着ていて、背も高かったが、ここに浮かんでいるのは、ずっと小柄で、少女としか言いようのない歳に見えた。 首を後ろに折っているので、紫色の長い髪が垂れている。彼女に意識はないようだ。胸もとに強く輝く光があり、それが彼女を包んでいく。見た目は蘇生魔法に似ている。戦闘で命を落としたとき、レイズをかけられると、魂が肉体に復活するのだ。もっとも彼女が死人であり、かつ蘇生の最中であるとは限らぬ。胸元の光も心臓ではなく、何か身につけているもの、ブローチやアミュレットから発しているとも考えられる。
アミュレット? 私は意識を取り戻した。少年の姿は消えていた。先刻までの痕跡を残すものは何もない。ただ私の右手に、クリスタルの小さな破片――メアの輝きが残され、炯々(けいけい)と光を放っているのみであった。 注1 「むろんボスとは便宜的な表現である。プロミヴォンの最奥地にいる虚ろなるモノが、そこに到るまでに群れている雑魚と、どのような関係なのかは明らかでない」 (Kiltrog談) 注2 空蝉の術は、自分の分身を作る忍術です。ここで使っている空蝉の術:壱では、分身の数は3体です。彼らが攻撃を受けてくれるので、敵の直接攻撃を3回かわすことが出来ますが、魔法に対しては効き目がありません(その301参照)。 (05.05.08)
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