その405

キルトログ、トゥー・リアに向かう

 翌朝、我々はチョコボに乗って出発した。
 メンバーは私、Leesha、Ragnarok、Steelbear、Urizane、Landsendである。アルドはいない。彼は彼で、別ルートで現地へ向かうようだ。
 私は心配した――ロ・メーヴを抜けていく危険に関してはともかく、神々の間の壁を通るには、私が持っている水晶を使わねばならない。“鍵”を使用することで、壁が消えてくれればよいのだが! そうでなければ、私は水晶を置いていくか、ずっと女神像の部屋にいて、アルドが来るのをじっと待っていなければならないのだ。

 
 不思議なもので、以前あれほど恐怖を覚えたロ・メーヴも、抜け方を覚えてしまえばあっけなく思われる。ここにたむろしている壷も、機会人形も、剣の悪霊ウェポンも、確かに恐ろしいことは恐ろしいが、今から戦うであろう敵とは比べるべくもない。そういう別の意味での緊張感がある。

 夕焼けが訪れるころ、我々は神々の間に到着した。

 アルタナの前を通り過ぎて、例の壁の前に行った。中央に窪みがあり、周囲は蜂の巣のような格子で覆われている。
 マリー・コミュージャに言われた通りに、私は水晶をかざした。腰の袋から取り出すと、水晶の明滅が、一段と激しくなり始めた。その輝きはくぼみへと吸い込まれた。壁の中央に、きらきらと青い光がやどり、それが格子全体に、放射状に広がっていった。輝きがどんどん強くなっていく。

 私は思わず目をつむり、そして開けた。

 目の前に、上り階段があった。

 私ははっと後ろを振り返った。格子がそこにあった。そして、2人の人影が。黒光のする鎧を着込んだガルカ。紅蓮の服を身にまとったヒュームの男。

「なるほど、こういう仕掛けか……」
 アルドがゆっくりと顎をなでた。
「柱の陰に隠れて、待っていたんだ。あんたが来ないと入れないようだからな。それにしても、ずいぶん時間がかかったじゃないか。まさかこの部屋に来るまで、機械人形相手にてこずっていたわけじゃあるまい?」


 私は苦笑した。心配は杞憂(きゆう)だった。アルドは思ったよりたくましい男だった。それにしても、一体どうやって我々を追い抜いたのだろう。
「同じことを考えていたやつが、もう一人いたようだが?」 
 アルドが、いたずらな笑いを浮かべて、暗黒騎士に目線を送った。ザイドはそれを無視した。「悪いが、便乗させてもらった」とつぶやき、鎧をかちゃかちゃ言わせながら、階段を上っていこうとする。
 私は彼の背中に尋ねた。
「ライオンはどうしたんだ?」

「知らん」
 そっけない答えが返ってきた。
「別に俺たちは、群れているわけではない。その天晶堂の男も、ここで一緒になっただけの話だ。俺はひとりだって構わない。クリスタルの戦士――アーク・ガーディアンを殲滅するという覚悟は、すでに俺の中で出来ている」
「大したもんだ」と、アルド。
「こわくはないのかい」
「この期におよんで、恐れることなど」
「あんたがトゥー・リアに行くのはなぜだい。ジラートの連中に、やられっぱなしじゃ悔しいからか?」
「語り部から、世界を預かったのだ」
 ザイドは、ゆっくりと振り返った。
「ラオグリムは、ヴァナ・ディールを頼む、と言って死んだ。俺はそれを聞き届けた。それ以外に、いったい何の理由がいるだろう」


 階段の先には、大きな広間があった。

 広間の中央に、巨大な装置が据えられていた。小さな階段があり、円形の魔法陣に続いていた。魔法陣の周囲には、5本の柱があり、間隔を狭めながら、真上へ伸びていた。かたちだけでいえば、ちょうどクリサリスを逆にした格好である。クリサリスは真下へ、エネルギー源のクリスタルに被さっていたのだ。

 経験上、テレポーターだろう、とすぐ察しがついた。しかし、魔法陣の上に乗っても、装置が作動する気配はなかった。かといって、スイッチらしきものが見つかるわけでもない。
 マリー・コミュージャが、ここで引き返した理由がよくわかった。なるほどここには、彼女の興味を引きそうなものは何もない。

巨大な装置

「トゥー・リアってのは、これかい」
 アルドが装置を蹴っ飛ばした。
「エルドナーシュは、どこにいやがるんだ?」

 その時だった。装置が、ぶん、と音を立てた。我々の足元が輝き始めた――「おい、おい!」 アルドが飛び跳ねたが、私とザイドは慌てなかった。古代遺跡のこういう現場には、何度も立ち会って来たからだ。だいたい装置そのものは、ズヴァール城のトランスポーターに似ているのである。
 
 足場が青い光を放っている。と思ったら、我々の背後に、フードを被った人物が立っていた。女だ。どうやら以前プロミヴォンの幻影で見た、巫女頭と同一人物のようである(その348参照)。

「ようこそ、暁の女神の神殿へ」
 幻影は丁寧に頭を下げた。
「私はイヴノイル――暁の女神に仕える者。神の扉に至る道の番人です。あなた方は王子の計画を阻止しに来られたのですね? 王子の執念から、私たちを捉えて離さないクリスタルの呪いから、どうかジラートの民を解放して下さい。私たちからもお願いします……」 

(05.11.01)
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