その478

キルトログ、エース・カーディアンと戦う(2)

「魔力の泉!」 

 つかのま、バトンズの身体が輝いた。奴はウォータ4を唱え出した。Koftがスウィフトブレードを炸裂させるが、バトンズはひるまない。私、Landsend、Koftがラッシュを続けるものの、奴はしぶとく立ち回った。こころなしか、戦いの序盤より余裕を見せてすらいる。

 後衛陣のところでは、混乱が起きていた。ソーズばかりかコインズまで起き出し、スリプガの礼とばかり、Apricotに襲いかかったのだ。ストンスキンは一定量のダメージを吸い込むように出来ているが、2人に打たれてはひとたまりもなく、早々に効果が途切れてしまった。
 Wirryrainが必死の応戦をしている。だが、ソーズらの注意を引くまでには至らないようだ。魔道士の装備は弱い。私たちのような前衛職なら、軽く受け流せるような攻撃でも、Apricotにとっては致命傷になり得る。LeeshaのケアルはApricotに向けられた。彼女は彼女で、何とかスリプルでソーズを眠らせようとするが、カーディアンがひっきりなしに打ちかかってくるため、詠唱に集中できないでいるのだった。

 バトンズのウォータ4が炸裂した。Koftの身体を包み込むほどの、大きな水の玉が現れ、彼の眼前で弾けた。Koftは吹き飛ばされた。ナイトの固い装甲も、これほどの魔法を止めることは出来ない。彼はただちにケアル4の準備に入った。Leeshaが混戦の隙を見て、Koftにケアル3をかけた。バトンズは次に、ドラウンをかけてきた。水の精霊を使った弱体化の魔法である。どうやら奴は、完全にKoftしか眼中にないらしい。私とLandsendの方は見向きもしなかった。

 私の中にかっと燃え上がるものがあった。私はバーサクとアグレッサーをかけ、バトンズをめちゃめちゃに打ちすえた。Landsendも発奮したか、突きと蹴りに勢いが増している。爆風と炎と噴煙で前が見えぬ。Koftにドラウンをかけ終えたバトンズは、長棍を鋭く振り回し、稲妻のようなスピードで3度、Landsendの身体を殴りつけた。後から知ったが、メッタ打ちという、カーディアンに備えられた特殊技であるらしい。



 攻撃は確かにLandsendにヒットしたが、彼はうまく受けてダメージを半減させた。そして冷静に、カウンターの拳を、バトンズの腹部に打ち込んだ。ずどん、と鈍い音がした。彼の渾身の一撃が、奴の魔導球をうち砕いたのだろう。

 バトンズは倒れた。私たちはカップスへ斬りかかった。


 後衛陣の前では、変わらぬ混戦が続いていた。Koftがカップスに挑発をしかけ、壁際に走り、引き剥がしにかかった。カップスはこの作戦に乗った。車輪を駆って私たち3人に突撃してくる。その向うに、起き出したコインズがLeeshaをつけ狙うところを見たが、Apricotがようやく落ち着いてスリプルを唱え、コインズを再び眠らせていた。

 カップスは白魔道士である。白魔道士なのに打ちかかってくるとは度胸がある。ソーズのプロテス4がかかっているから、防御力が低いわけではなかったが、さりとて固い装甲を誇るわけでもなかった。ブレイズスパイクに惑わされないぶん、いくらか扱いやすいと言ってもいい。また、バトンズを先に倒したことで、3人ともこのころには身体が温まっていたのだった。

「スウィフトブレード!」

 Koftの剣は、X字にカップスを裂いたのち、脳天から切り下げた。ひるむカップスに対し、私とLandsendが、ほぼ同時に攻撃を命中させた。クリティカルヒット! あと少しでとどめを刺せる、と思ったときである。奴の足元に光の波紋が浮かび、同心円状に広がった。途端に、カップスの動きが軽快になった。女神の祝福を使ったのだ!

 女神の祝福により、カップスは再び全体力を取り戻した。波紋のひろがりは、わずかにソーズにも届いており、せっかく積み重ねた我々のダメージが無駄になってしまった。私は思わず舌打ちをしたが、形勢逆転となったわけではない。カップスは調子に乗ってメッタ打ちを実行したが、Koftは盾でやり過ごした。

 Wirryrainが駆け寄って来て、カップスを剣で攻撃した。きかん坊のコインズとソーズが、ようやく眠ったのである。よい兆候だ。星はまだ我々に味方している。Koftに正対し、背中を向けているカップスに向かって、私とLandsendは執拗に攻撃を重ねて行った。

 私はランページを放った。これまで幾多の敵を葬り去って来た、片手斧の5段攻撃! 力まかせに打ちすえたが、致命傷とはならなかったようだ。カップスはくるりと向き直り、私に長棍を繰り出してきた。Landsendはその隙を見逃さなかった。すでにすっかり準備が整っており、タイミングを冷静に計り続けていたのだ。

「夢想阿修羅拳!」

 サンドリアの友人、モンクのLibrossが使った必殺の技。Landsendはタルタルで、身体もずいぶんと小さかったが、体重のじゅうぶん乗った拳の重さ、蹴りの鋭さは、Librossの技にも劣らなかった。カップスは跳ね上がり、ぼろぼろになって、泉の方へ飛んでいった。断末魔の声こそ聞こえなかったが、奴ともう戦う必要がないことは、その瞬間にわかった。

「さあ来い、エース・オブ・ソーズ!」

 エースどものうち、最も我々をわずらわせていたのがソーズである。Apricotを執拗に狙っていたからだが、果たしてKoftや私相手にそれが通用するか。Koftは挑発をかけて、まだ眠ったままの奴の胴体に、勢いよく剣の一撃をお見舞いした。目を覚ます瞬間に、私も斧の攻撃をヒットさせていた。
 
 Wirryrainが、さっきまでのうさを晴らすように、高らかに言い放った。「スピリッツウィズイン!」魂を込めた剣の一撃である。ソーズはなるほどナイトだけあって、守備力の強さは他のカーディアンと比べ物にならぬが、この技は相手の装甲をものともしない。私も以前食らったからわかる。アークエンジェルEVに一撃で斬り捨てられた。火箸の貫通するようなあのときの痛みを、私は決して忘れることがないだろう(その418参照)。

「インビンシブル!」

 ソーズは早々に奥の手を出してきた。このアビリティにより、ソーズは30秒の間、物理攻撃には完全な耐性を得る。私の攻撃は、確実に奴の身体にヒットしているが、奴がダメージを受けた様子は全くないのだった。ソーズは長棍を風車のように回転させて、風を巻き起こした。「ディールアウト!」それはKoftを襲ったが、Koftの方が一枚上手だった。奴がインビンシブルを使うのを見越していたのだろう。スピリッツウィズインを放って、Wirryrainに続いた。この一撃は、インビンシブルの皮膜を越えて、奴の身体に直接届いた。ソーズが木のきしむようなうめき声をあげた。

 スピリッツウィズインの衝撃とほぼ同時に、インビンシブルの効果が切れた。ソーズはメッタ打ちで対抗しようとしていたが、いかんせん4人相手は分が悪すぎた。奴が状況を打破しようと焦りを見せているとき、隙が生まれた。私の斧が奴の肩口を捕え、そのまま勢いあまり、斜め下に切り下がった。斧は心臓の位置で止まった。斧の柄を通し、カーディアンが身を固くして、力がすっと――完全に――抜けるのがわかった。

 私は、ソーズの身体から慎重に斧を引き抜いた。そして走り出し、泉の前に立ちふさがっている、エース・オブ・コインズの前で足を止めた。


(07.01.30)
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