クゥダフ

 野蛮さにおいて、悪名高いオークに勝るとも劣らないのがクゥダフである。容姿は二足歩行する亀を思わせる。ごつごつした皮膚と、顔の両脇についた小さな目。体格は大きく、若輩のクゥダフでも小柄のガルカに並ぶほどだ。意外なことに背負った甲羅は自前のものではなく、工業技術を駆使して作られた人工の鎧であるらしい。

 クゥダフは主にクォン大陸南部、荒れ野のグスタベルグから、ジュノ近隣のフォルガンティに生息し、あらゆる地域で人類を襲っている。その被害の大きさから、近年バストゥーク政府も本腰を入れて対策に乗り出し始めた。街道で旅人の護衛を担当する鋼鉄銃士隊は、近頃では専らクゥダフ対策として各地へ派遣されている。

◆生物的特徴

 クゥダフの容姿は亀そのもので、非常に没個性的に見えるが、装備のかたちは細かく違う。それは彼らの職種――戦闘時の役回りに起因している。大きく分けて3パターン存在する。

角甲装備。
袖口の装飾が赤く、「紅肩」と呼ばれる。
背甲は青銅製で呪術模様が刻まれている。
士官クラスのトレードマークであるが、戦士系に多い。
魔甲装備。
背中のみならず、胸甲にも抗魔用の呪術模様が施されている。
後方で支援する魔道士に多い。
兜の頭頂部が赤いのが特徴。
黒甲装備。
平らな兜に、黒鉄をふんだんに配合した合金甲羅を背負う。
呪術模様は一切ない。
最前列で身体を張る重戦士。

 見分けるのは困難だが、個々の体格の大きさも随分と違う。死ぬまで成長を続ける爬虫類の特徴を彼らも受け継いでおり、年長のクゥダフは若いクゥダフに比べて一回りも二回りも大きい。甲羅も身体に合わせて大型のものを背負うが、ずっしりと重い甲羅を背負うにはそれなりの体力が要求される。大きな体格は単に年齢ばかりでなく、厳しい生存競争を長く生き抜いてきた証拠ともなるものだ。従って「でかい者ほど偉い」。さすが爬虫類同士というべきか、この階級制度はオークに一脈通じるところがある。

◆クゥダフの歴史

 クゥダフの歴史は古く、サンドリア建国前から既に国家を作っていた。291年、当時の王ドゥ・ダは大軍を率い、デルフラントに攻め入っている(注1)。そこでエルヴァーンのクームルド族を破り、土地を占領した。しかし肥沃なはずのデルフラントを捨て、パシュハウ沼南部にベドーを建設し始めた。彼らはクームルド族と和解して、緩衝地帯を策定したのである。このように当時は、獣人と人間が手を組むこともざらにあった。

 ドゥ・ダは現在の階級システム――装着した背甲に、金属および宝石を着ける――を築き、富国強兵に努めた。ウィンダスとエルヴァーンの争いには不介入を貫いたが、サンドリア族長ランフォルが彼のもとを訪れると、「余に最も近き者である」と彼を賞賛、協力を約束した(ベドー会見)。382年のエルヴァーン軍の大勝利は、クゥダフの助けなくしてはあり得ない。ランフォルとドゥ・ダの蜜月は続き、【鉄血王】の葬儀の際には、ドゥ・ダが供の者数人だけを連れて参列、死した友を見送った。そのあまりの豪胆さにサンドリア人は驚嘆したという。

 500年頃、自らの死期を悟ったドゥ・ダは、今後100年の国策を石碑に記させたあと、断食して死んだ。その死は伏され、死後も20年間王であり続けたが、将軍ヴォ・ゴが王宮の禁制を破って発表し、王位を簒奪。ヴォ・ゴは碑文を破壊した。以後クゥダフは、版図拡大のため本格的に南下を始める。彼らの敵がサンドリアからバストゥークに移って行くのはこの頃からである。

 685年、クゥダフ族はパルブロ山に定住していたが、突如バストゥークの襲撃を受け、そのことごとくが殲滅された(赤き火と血の日)。共和国が山を襲ったのは、希少価値金属ミスリルの鉱脈が見つかったからである。この復讐は869年、鉱山への逆襲をもって為される。200年近くの間、ヴァナ・ディール最大のミスリル鉱山だったパルブロは、再びクゥダフに奪還された。以来現在まで、彼らの占領が続いている。

 クゥダフがパルブロに執着しているのは、彼らの英雄がここで生まれたという伝承があったからだが、実質的な旨みも大きかった。彼らの本拠地ベドーは、人類の冶金・鍛冶の技術を盗んで作られた都市(注2)だが、湿気がとても高いために、通常の鉄だと腐食してしまうのである。彼らは鉄を強く信奉しており、背甲をすべて鉄製にした時期もあったものの、錆に対してはどうすることも出来なかった。バストゥークと果てしない抗争を続けているのは、クゥダフが地下資源を渇望しているからだ――錆びない金属ミスリルの確保は、彼らにとって死活問題なのである。
 
◆クゥダフの軍制

 知る人ぞ知る、パルブロ鉱山地下には卵の孵化部屋がある。ここから無数のヤング・クゥダフが誕生するわけだが、生存競争は厳しく、次の階級に進めるのは百分の一程度だ。階級名は主に金属や宝石の名で表現されるが、多くの者は上りつめる前に死んでしまう。我々が考えるほどクゥダフの生命力(環境適応力というべきか?)は強くない。その証拠に彼らのテリトリー内であるにもかかわらず、バルクルム砂丘やダングルフの枯れ谷では、その姿を全く見かけることはない。これは高い気温にクゥダフが耐えられないことの証拠だろう。

 クゥダフの頂点に立つのは、金剛王ザ・ダである。即位してから長く、在位はゆうに100年を越えるはずだ。もっとも、クゥダフには名前を受け継ぐ風習があるので、同一人物であるとは限らないのだが(このように彼らの個体名は母音を含む短い音が二つ重なっていることが多く、共通語ではアポストロフィ(’)で区切って表現される)。

 クゥダフ軍の主力は装甲兵団である。小部隊のようにひとつの単位を為すもので、攻略地域によって「ワールン装甲兵団」「クゥルン装甲兵団」などと呼び名がつく。彼らを束ねるのが武装親衛隊だ。もともとザ・ダの側近に過ぎなかったが、大戦時に起きた内戦――穏便派の粛清――を期に、権限を増していったという。

 また、武装親衛隊から選抜された、親衛略奪隊という部隊もある。こちらは王の私欲を満たすため、略奪作業に従事するのだが、規模をどんどん拡大し、ついに突撃兵団を従えるまで成長した。装甲兵団、突撃兵団はクゥダフ軍の双璧である。ただし、親衛隊と略奪隊は仲が悪いことで有名だ。補給物資や指揮権の取り合いで頻繁にもめ、お世辞にも統率が取れているとはいえない。

 クリスタル大戦時、金剛王ザ・ダは、闇の王の要請に従って兵を出した。これがズヴァール駐留隊だが、多数の親衛隊員を紛れ込ませていたため、指揮権を闇の王に譲ることはなかった。事実、敗戦時にはベドーに逃げ帰っている。武装親衛隊は王より破殻の儀式を受け、決して裏切ることがないという。その忠誠心が生きたのかもしれない。

注1
 彼は「不老のドゥ・ダ」として知られる。このとき既に高齢であり、輿に乗っての進軍であったと『ルーノル戦記』に書かれている。


注2
  クゥダフは合理主義者であって、優れた技術ならその出自を問わない。獣人界において、クゥダフは優れた鍛冶師である。彼らは獣人ミスリル貨獣人金貨など、獣人貨幣を鋳造し、獣人社会に広く流通させている。

(06.02.15)
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