その他の人類居住地

 この項では、マウラ、セルビナ、カザム、ラバオ、ノーグについて取り上げる。四大国ほど大規模ではないため、冒険者として定住することは少ないだろうが、短期的な冒険の拠点として世話になる機会も多いだろう。

◆マウラ

 マウラはミンダルシア大陸南東部、コルシュシュ地方ブブリム半島沿岸にある港町である。ブブリムはコンクエスト政策の対象地だが、マウラは例外であり、ウィンダス領として総督府が置かれている。現在の総督はタルタルのエコココである。

マウラ

 マウラは歴史の古い町で、正史にはあまり登場しないものの、古くからタルタル族のナナンジ族が定住し、天然の良港として利用していた。同地は岩が波によって侵食されており、人の手で徐々に断崖を加工、現在のような町のかたちとなった。家屋はすべて岩をくりぬいたものである。そのため油の需要が高く、生活費に影響するため、景気のいい商店以外は節約し、昼でもなおうす暗いことが多い。

 町にはモーグリこそいないが、鍛冶、彫金の2大ギルドが存在し、宿屋(2階建て)、防具屋、古物商、道具屋など、一通りの店が揃っている。だが、最も冒険者に利用されるのは機船であろう。ここからはセルビナへ向けて、1日3便の貨物船が出発している。乗客を乗せるのはいわばおまけであり、部屋は狭く、内装も殺風景であるなど、必ずしも快適な旅とはいえない。便によっては海賊に襲われることもあるし、恐ろしい海の怪物が出現することもある。だが、のんびりとした8時間の船旅は、厳しい陸路の緊張をいっとき和らげてくれるし、新天地への期待感を募らせるには良い時間だ。10〜18レベルの冒険者が主な客だが、近ごろではそれに限らない。近東のアトルガン皇国へ向かう便も出るため、ベテランの冒険者の間では、再びマウラの重要度は上がりつつある。

◆セルビナ

 マウラへはセルビナから船が出る。逆も同様である。もともと機船はバストゥークのシドが開発したもので、従来の木造帆船に代わり、内燃機関を導入して高速化した(857年より定期便就航)。余談だが海賊船も同じ原理で動いているらしく、大工房関係者が設計技術を漏らしたのではないかと疑われている(後述)。

 セルビナは比較的歴史の新しい町で、762年、冒険家グィンハム・アイアンハートによって発見された、バルクルム砂丘の入り江が基になっている。町の名づけ親は彼であり、現地へ案内してくれた少女――種族不明。おそらくはヒュームか――の名に由来しているという。

 769年、港が建設され、共和国領となった。グスタベルグで産出される鉱石を積み出すほか、天然の漁港としても名高く、現在でも漁業が盛んである。魚の大部分は乾物や塩漬けに加工され、ジュノやマウラへ輸出されている。そのためか、クォン大陸唯一の漁師ギルドがある。同ギルドは世界に二箇所しかなく、もう一箇所はミンダルシアのウィンダス連邦内である。

セルビナ

 牧畜業も町の産業のひとつとなっていて、ラテーヌ高原へ羊を放牧する羊飼いたちが拠点としていた。その名残か、セルビナシープという大型の品種がおり、サンドリアで今でも飼われている。最盛時には、食材としてのセルビナミルクや、羊毛を利用した加工品が町を支えた。それゆえ織工ギルドがある。もっとも現在では羊飼いも少なくなり、細々と老人が育成を続けているのみである。

 現在セルビナはバストゥーク領ではなく、自治都市である。862年7月、クリスタル大戦勃発に際し、中立を宣言して共和国を驚かせた。そのため数日間、共和国軍に包囲されるなど(セルビナ騒動)緊張が続いたことがある。飛空挺時代の到来とともに、港としての価値は下がってしまったが、コンクエスト政策に関する会議が開かれるなど、依然「各国首都以外の要地である」という認識は、世間的にも強い(セルビナ協定)。

 現在ではアベラルド町長のもと、地元産業中心に町を維持しているようだ。ノマドモーグリこそおらず利便性はよくないが、2つのギルドのほか、宿屋、武器屋、道具屋を備え、ザルクヘイムで戦う冒険者の拠点としての価値は高い。

◆カザム

 クォン、ミンダルシア両大国以外にも、人類の居住地は存在する。その中で、冒険者が最初に到達したのは、おそらくカザムではないだろうか。このエルシモ島の猟師町は、ジュノから飛空挺が出ている、三国以外の唯一の町である。族長ジャコ・ワーコンダロに率いられるミスラの集落で、彼女たちの居住地としては、ウィンダスに次いで名高い。

カザム
 ジャコ・ワーコンダロ。傭兵の母に連れられ、タブナジア侯国で幼少時を過ごす。候都陥落の脱出船が転覆し、漂流していたところをギルガメッシュに拾われ、海賊見習に。871年、カザム漁村との縄張り争いで刃傷沙汰となり、海賊代表として首狩りポリィと対決、母の形見の短剣のみで見事勝利した。その判断力の早さ、高さをロマー・ミーゴに買われ、カザムへ引き抜かれる。879年族長就任。辣腕を発揮し、単なる漁村に過ぎなかったカザムを、一大勢力にまで発展させた。

 正確にはカザムは南方の国家に所属しているが、特別に自治を許されている。400年前に殖民してきたのが始まりで、現在でも村民の半数はそのときの子孫だ。彼女たちは自然を崇拝し(南方系アニミズム)、狩猟や漁業を生業としている。統治システムはシンプルで、月一度の集会によって様々な案件を決めているようだ。

 飛空挺の往来により、カザムの環境は大きく変わった。昔は静かな村で、バストゥークの名軍師シュルツも晩年を過ごした場所だが、冒険者が多く詰め掛けることでにぎやかになり、かつての伝統社会は壊れつつある。そのことに眉をひそめるミスラたちも多いが、武器屋、防具屋、雑貨屋、飲食店、チョコボ厩舎にノマドモーグリ、競売所までを揃え、利便性はかなり高い。そのためヨアトル、ユタンガの大森林に臨む冒険者には重宝されている。

 名物はパママミスラントマトなど、近辺で取れる食材が主である。中にはカザムがらしカザムパインなど、町の名を冠にした品もある。

◆ラバオ

 南海のジャングル、エルシモ島の拠点がカザムなら、砂ただ砂の荒涼としたゼプウェル島、その憩いの場がラバオである。

ラバオ 

 ラバオは文字通り「オアシス」で、アルテパ砂漠の真ん中にあり、こんこんと湧き出す水で旅の商人、冒険者たちを癒している。2基の風車が絶えず水をくみ上げるので、一年を通して泉が枯れることがない。産業は特になく、隊商と冒険者をあてこんだ商売が収入源となる。もっとも近年はメロンを栽培して、冒険者相手の商品にしようという試みもあるようだ。

 村というよりは寄留地に近く、コミュニティの成長は見られない。人口がその規模に達していないのだろう。国の目を盗み島へ渡ってきた人々が徐々に集まった、と言われており、正確な歴史についてはほとんど不明である。かつてのガルカの居住地である流砂洞は少々離れているので、泉も集落も、比較的最近のものと考えられる。そのためか、店の種類はカザムにも劣らず、ノマドモーグリや競売所も揃えている点で、冒険者には過ごしやすい場所となっている。

◆ノーグ

ノーグ 

 エルシモ島、海蛇の洞窟の奥にある海賊の拠点。海賊船が頻繁に入港、掠奪品を下ろし、物資や乗員を補給して旅立っていく。そのため珍品も取引されており、各国では禁制品となっている、東方伝来の武器防具も広く扱っている。ヴァナ・ディールを代表する裏の「競売場」で、ブラックマーケットという俗称すらある。その性質上、ジュノにある天晶堂とも深く繋がっているらしい。

 洞窟内にあるため、照明に乏しく、昼なお暗い。限られた空間は工夫されて有効に利用されているが、多くの箇所で岩壁が剥き出しとなっている。頭領はギルガメッシュ。既に老境にあるものの、今なお盛んである。彼の部屋は木造で、壁には大きなタブナジア国旗が張られている。彼らと侯国との関係は不明。一説によると、タブナジアは海賊ゆかりの土地で、陸の故郷であったといわれている。

 住民の稼業のせいか、ノーグには謎が多い。多数出航する船の行き先は誰も知らない。彼らはセルビナ-マウラ間の定期船をときに襲うが、その際に死者を呼び出して兵士とする。こうした技術も、ヴァナ・ディールの魔法体系には存在しないようだ。襲撃のさい冒険者とは敵対する立場だが、じめじめした洞窟をはるばる通ってきた冒険者は、大事な客として歓迎する。海賊は商売のためには割り切って考える習癖があり、本来なら非友好的なサハギンに対しても、一部取引をして自分たちの利益に繋げているという。

(06.09.24)
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