サンドリア王国――軍制、社会問題ほか
◆王立騎士団

 サンドリアには王立騎士団神殿騎士団という、世界に名だたる二大騎士団が存在する。統帥権は国王デスティンが持つ。従って両騎士団とも直属ではあるのだが、後者はサンドリア国教会がすべて活動資金を担っているため、大規模な動員の際には教皇の許可も必要となる。

 従って、国王直属という形容詞は、王立騎士団の方にふさわしい。剛勇無双の王立騎士団長ラーアル・S・ラブラールのもと、大小100近い騎士隊が配属されている。騎士隊にはそれぞれ固有の名前がついており、伝統的に敬称されているらしい。例えば赤鹿隊は、第二次コンシュタット大戦のときにも存在しており、かのヴィジャルタール・カフューが所属していた小隊として有名である(ヴィジャルタール・カフューについてはサンドリア史(6)を参照)。

 騎士隊の編成は個々によって若干変化するが、平均的な構成は、1名の王国騎士、その護衛をつとめる2〜3名の王国剣士、騎士の郎党や一族の若者から成る4〜5名の王国従騎士、総勢60名ほどの王立槍兵王立弓兵、というところである。

 王立騎士は騎士隊の指揮官であるわけだが、彼らはほとんどが訓練されたエルヴァーン貴族か、成績優秀な冒険者である。国王への忠誠心は極めて高いため、士気は旺盛だ。彼らの上にはさらに王立大騎士がおり、大騎士ともなると騎士を10人ほど配下にしていることが多いので、大騎士の可動員兵力はかなり大きなものになっている。

 王立騎士団は、王国軍の中核として外敵と戦いを繰り広げてきた。現在ではそういう機会は減っているため、獣人掃討、国境警備、王都および辺境防衛などが主な仕事となる(ただし、これらも彼らの任務の一部に過ぎない)。王立騎士団は、騎士文化の国の主力部隊である。その意味でまさしく、誉れの象徴であり、「サンドリアそのもの」だといえるだろう。

◆神殿騎士団

クリルラ

 前述のように、サンドリア国教会の庇護を一身に受ける。主な任務は、王都の治安維持、犯罪者・異端者の取り締まり、王城や聖都の警護、暴徒鎮圧など。王立騎士団が国外で働く軍隊とすれば、神殿騎士団は王都で働く警察だ。団長はクリルラ・V・メクリュである。女性ながら王国きっての剣豪といわれ、トリオン王子とも互角に打ち合ったことがあるという。

 “警察”とはいえ騎士団なので戦時にも動く。戦勝祈願の儀式の手配や軍内の犯罪、背徳行為の取り締まりなどを行う。王立騎士団より規模はやや小さく、大小60程度の騎士隊が所属している。教皇に洗礼を受けた神殿騎士のもと、10名の神殿従騎士、その配下として30名ほどの僧兵が控える。神殿大騎士が率いる騎士隊は、もっと大規模なものになる。彼らはひとりで10名程度の神殿騎士を部下に持つので、人数は10倍に膨れ上がる。このあたりの構成は王立騎士団と変わらない。

 ところで、王立騎士団と神殿騎士団は、互いに仲が悪いことで知られている。神殿騎士は洗礼を受け、宗教的権威を持ち、ある意味では国王すら容易に触れられないアンタッチャブルな領域にいる。王立騎士団はサンドリアの顔であることを自認しているし、歴史も神殿騎士団より古い。にもかかわらず、神殿騎士団に地位で劣るのが面白くない。近年では対立はますますエスカレートしている。デスティンの長男トリオンが王立騎士団を、次男のピエージェが神殿騎士団を、職務上率いることが多いため、2人の王位継承問題が深刻化するにつれて、両騎士団はそれぞれを擁立するかたちで溝を深めているのである。もはや一個の社会問題だといっても差し支えないだろう。

◆その他の騎士

 前項までサンドリアの二大騎士団について述べたが、騎士と呼ばれる存在はそれだけではない。在郷騎士、近衛騎士、傭兵騎士などがいる。このうち在郷騎士は王都に住んでおらず、戦時にサンドリアのために駆けつける、いわば援軍としての働きをする。

 近衛騎士は国王および王族の身辺を警護する、非常に名誉ある役目である。伝統的に二大騎士団から選抜された精鋭が就任してきたが、近年では、戦功いちじるしい冒険者が名誉職で就任する例もある。正確な人数は伝わっていないが、100名程度といわれており、小規模であるため団ではなく、ひとつの騎士隊として扱われる。

 冒険者にとって最も馴染み深いのは傭兵騎士団だろう。彼らは正規の軍隊ではなく、自発的に編成された義勇兵や傭兵の集団である。そのうち国王から正式に認可を受けたものを傭兵騎士団と呼ぶ。ただし彼らは常備軍ではなく、戦時を除いて俸給が出ないため、平和で戦争が途絶えた昨今、いつもは冒険者として過ごし、個別に活動している者も多い。

◆冒険者について

 ジュノが提唱したコンクエスト政策は、冒険者に多くの権限を保障する一方で、彼らを社会のシステム内に組み込んでしまった。冒険者はサンドリア、バストゥーク、ウィンダスの三国いずれかに配属され、各国の恩恵のもと、ミッションを積み重ねることで、国内での社会的地位が上昇する、という仕組みになっている。

 ランクは数字で表される。新米はすべてランク1から始まるが、10まで達した者はすでに伝説の域にいるといってもいい。

 1〜6ランクまでは、各ランクに対応した王国軍内の地位が発表されている。戦績ポイントで得られる配給品もこれに従う。ただし、冒険者が実際にランク相当の役職を代行する機会は少なく、あくまでも評価の基準という傾向が強い。

【ランク1】王国弓兵
【ランク2】王国槍兵
【ランク3】王国従騎士
【ランク4】王国剣士/神殿従騎士
【ランク5】王国騎士/神殿騎士
【ランク6】近衛騎士

◆治安維持機関

 前述のように、神殿騎士団が主にこの役目を担う。国外の治安維持部隊では、国境警備兵が名高い。

 国境警備兵は、セルビナ協定に基づいて、本国から自国の領地や各国連邦領事館に派遣されるエリート兵士である。任務は単なる国境警備に留まらず、冒険者へのコンクェスト参戦認可(シグネット)、領事館の警備、コンクェスト集計協議への参加など、非常に多岐にわたっている。彼らは名前の後にR.K.、あるいはT.K.を付されているが、この略称は所属先を表している。すなわち王立騎士団(the Royal Knights)と、神殿騎士団(the Temple Knights)の違いである。

 彼らは冒険者の支援のため、衛兵詰め所であるゲートハウスにも一部配属されている。衛兵(ガード)は外敵や獣人からサンドリアを守っている。似たような施設に監視塔がある。北サンドリアのランペール門脇に、ゲルスバ砦を見張るために作られた塔で、ランペール自身の発案による。ここに詰める6人は義勇兵で、正式な騎士ではないが、手柄次第で王立騎士に推薦されるため、全員の士気は高い。

◆社会問題

 前項で述べたように、王位継承問題、および両騎士団の対立は、サンドリアに撒かれた火種のひとつである。エルヴァーンの単一国家に近いせいか、他国よりも排他的な傾向があり、国全体が硬直化しているとも言われる。「老いたる獅子」と揶揄されるのはこの部分である。サンドリアの役目はもう終わった、とみなされているのだ。これは王国に所属する者にとって屈辱以外の何者でもない。

 識者によっては、コンクエスト政策を導入したあと、徐々に変化の兆候が感じられるという。だが、サンドリアが変わるのにはまだ多くの時間が必要となりそうだ。明るい未来を築くためには、まずはオークとの抗争を終わらせねばならない。長い戦いによる国全体の疲弊が、ますます諸問題を深刻化させている感がある。

(06.05.29)
Copyright (C) 2002-2006 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送