ウィンダス連邦――軍制、社会問題ほか
◆軍制

 ウィンダス軍は、12の戦闘魔導団と、4のミスラ傭兵団から成る。

 これらの総司令官となるのが大魔元帥である。元老院で1年に1度詮議が行われ、元帥未経験の元老院議員の中から選出される。このような持ち回りに近い体制になっているのは、文民統制(注1)を基本原則と考えるからだ。もっとも状況によっては、軍事的能力が優先され、元老院議員以外の者が選出されたり、同じ人物が複数回就任したり、という例が過去に存在する。戦闘魔導団団長のひとりだったルンゴ・ナンゴは、エルヴァーン諸族を次々に撃破した功績で、372年大魔元帥となった。このときは陣中で就任が伝えられており、例外中の例外といえよう。

 戦闘魔導団は戦闘魔導団長によって束ねられ、参謀として数名の賢者がつく。実働部隊は魔戦隊で、ひとつの戦闘魔導団には8つの魔戦隊が配属される。

 魔戦隊の中核を成すのが魔戦士である。魔戦士は義勇兵(後述)から選抜試験を経、採用される歴戦の兵士で、30名と寡兵ながら優れた働きをする。その量的マイナスを補うのが100体の魔動兵、いわゆるカーディアンである。魔戦隊長にも軍師と呼ばれる補佐役が就くが、軍師は100体のカーディアン操作も担当するので、賢者とは役職の性格が異なっている。

 戦闘魔導団は、武魔両門に優れたウィンダスならではのエリート部隊だ。しばしば戦の流れを変えるため、決戦時に投入される。したがって連邦軍の主力部隊ではない。その役を担うのはミスラ傭兵団の方である。彼女たちは常備軍ではあるが、あえて傭兵団という名称に固執している。どうやら何ものにも縛られたくないというミスラなりのこだわりが働いているらしい。

 ミスラ傭兵団は4つの有力な兵団から成るが、構成はシンプルだ。それぞれの兵団には傭兵団長がおり、その下に複数の傭兵隊が存在する。傭兵隊は傭兵隊長のもと、傭兵と義勇兵を束ねる。通常、傭兵は100名程度、義勇兵は50名程度なのだが、隊の実情によってかなり変動がある。定数制を採っていないのは、狩りのシーズンかどうかによって、ミスラの数に大きく増減が見られるせいである(注2)

◆冒険者について

 ジュノが提唱したコンクエスト政策は、冒険者に多くの権限を保障する一方で、彼らを社会のシステム内に組み込んでしまった。冒険者はサンドリア、バストゥーク、ウィンダスの三国いずれかに配属され、各国の恩恵のもと、ミッションを積み重ねることで、国内での社会的地位が上昇する、という仕組みになっている。

 ランクは数字で表される。新米はすべてランク1から始まるが、10まで達した者はすでに伝説の域にいるといってもいい。

 1〜6ランクまでは、各ランクに対応した連邦軍内の地位が発表されている。戦績ポイントで得られる配給品もこれに従う。ただし、冒険者が実際にランク相当の役職を代行する機会は少なく、あくまでも評価の基準という傾向が強い。

【ランク1】義勇兵
【ランク2】傭兵
【ランク3】傭兵隊長
【ランク4】魔戦士
【ランク5】軍師
【ランク6】賢者

◆治安維持機関

 ウィンダスには、常備軍のほかに、元老院議員や院の警護をする元老院警備隊が存在する。安全上の観点より、その人数や装備は明らかになっていないが、100名程度だという情報がある。彼らの中から、さらに選りすぐりのエリートたちが集まり、守護戦士として独立している(リーダーはミスラのセミ・ラフィーナ)。彼女たちは天の塔直属の部隊で、場合によっては国の重要人物を捜査、逮捕する権限すら持つという。

 国外の治安維持部隊では、国境警備兵が名高い。セルビナ協定に基づいて、本国から自国の領地や各国連邦領事館に派遣されているエリート兵士である。その任務は単に国境の警備に留まらず、冒険者へのコンクェスト参戦認可(シグネット)、領事館の警備、コンクェスト集計協議への参加など、非常に多岐にわたっている。国境警備兵は戦闘魔導団に属しているので、略称として名前の後にW.W.が付されている。

 同じような役割は各国のゲートハウスに常駐する衛兵(ガード)も行う。彼らは国境警備兵の補佐として冒険者の手助け(ミッションの発令など)を行い、門に迫る外敵から連邦を守っている。

 ウィンダスに大きな警察的組織はない。ガードがその役割を担当しているように見えるが、不明瞭な部分が多い。以下で述べるように、分野によっては、各院にも担当領域が存在する可能性がある。

 例えばカーディアン絡みの事件については、手の院に通報すると執拗に繰り返されたり(クエスト「泥棒スターオニオンズ団」)、大戦前にウィンダスを訪れた修道士ジョゼに対し、侍女長ズババは「口の院に突き出すよ!」と述べている(ヴァナ・ディール・トリビューンvol.17)。もっとも前者は、手の院自体が捜査を行うのかは不明瞭であり、後者にいたっては単なる脅しの言葉かもしれないので、推測の域を出ない。

◆社会問題

 サルタバルタの先住民族である獣人ヤグードと、867年平和条約を締結。これは現在にいたるまで続いているが、友好国家とは名ばかりで、ヤグード側からの挑発行為は絶えない。星の神子を頂点とする元老院は、ほとんどがタルタル族であるため、彼女の神託のもと、“友好関係”を保とうとしている。

 タルタルの見せる弱腰外交は、ミスラに大変評判が悪い。彼女たちは族長ペリィ・ヴァシャイに従い、タルタルへ恭順のかたちを崩さないが、次期族長と噂されるセミ・ラフィーナが、守護戦士で星の神子のシンパであるため、派閥による分裂を招いている。こうした問題はタルタルとミスラの不仲に繋がる。バストゥークにおけるヒュームとガルカの壁ほどではないが、憂慮するべき問題であるには違いない。

 これらのふたつを除けば、ウィンダスに目立った社会問題は見当たらない。もともとサルタバルタの食糧事情は良好で、タルタルもおおらかな性格であり、朴訥な空気が退屈でなければ、あらゆる冒険者が過ごしやすい国だといえる。

注1
 シビリアン・コントロール。職業軍人の独裁や軍事的暴走を抑制するため、軍部の最高指揮権は文官が持つという近代民主主義の考え方。

注2
 ミスラ傭兵団はその名の通りミスラが主力となるが、配属される傭兵、義勇兵たちは、ミスラだけに限られているわけではない。


(06.05.29)
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