カーディアン

 カーディアンはタルタル、ミスラに次ぐ、第三のウィンダス連邦構成員である。ある意味「6番目の人類」とも言えるわけだが、その呼び名を使うには、まず生命とは何かについて議論せねばならない。

カーディアン

◆種族的特長

 ヴァナ・ディール広しといえど、カーディアンはウィンダス周辺にしか存在しない。従って、サンドリアやバストゥークで育った冒険者たちは、連邦の門を潜ったとたん、その目を丸くすることになる。

 カーディアンは国内のいたるところで見られる。身長は成人ヒュームほどもあり、涙滴形の胴体に、先の丸まった両手がくっついている。右手に握られた杖は、彼らの身の丈を軽く越えるのが普通だ。胴体下部には三つの車輪がつけられている。車輪はそれぞれ別の角度を向いており、任意の方向に転がる。我々が考えるより素早く、器用に車輪を駆って走る彼らの姿は――クォン大陸からはるばる旅して来た者にとっては――ちょっとした見ものであるに違いない。

 既におわかりのように、カーディアンは人造物である。正体は、タルタルが魔法をかけて動くようにしたカカシである。自動人形ではあるが、彼らは彼ら自身の意志や感情――「心」を有している。ほとんどのカーディアンは知能が低く、発音も舌足らずで、簡単な標準語しか話すことができない。にもかかわらず、国民は彼らをとても可愛がっていて、人間並みの扱いをする。タルタルのカーディアンへの愛情は深く、他国民が真の意味でそれを理解するのは難しいだろう。

製造中のカーディアン

◆誕生のいきさつ

 ウィンダスの風景にかかせないカーディアンであるが、誕生は比較的近年だ。861年当時(現在は886年)、手の院長だったゾンパ・ジッパの開発による。彼は野心家の口の院院長、アジド・マルジドの実父としても知られている。

 カーディアンの開発理由は、人的資源の枯渇によるものだった。とりわけ専門の前衛職不足が深刻で、「このままでは市民からの強制徴兵もやむを得ない」という意見が、元老院においても聞かれた。ゾンパ・ジッパはこの問題を、自身の得意とする封命術(道具に命を与える魔法)で解決しようと試み、周囲に思惑を話すことなく、まったく私的に魔動兵の開発を始めた。

 こうして作り出された魔動兵たちは、実に奇妙なものだった。一本足、六本足、禁断の浮遊魔法レビテトを使ったものなど、移動手段は多岐に渡った。容姿についても同様で、四本腕に魔法剣を取り付けたもの、顎のついた双頭のものなどがあった。ゾンパ・ジッパも野心家で(血は争えない!)、名誉欲にかられており、必要以上に試行錯誤を繰り返したのだが、魔動兵そのものは強力だったので、内心その出来には密かに自信を持っていた。

 ある日、彼は試作品をカラハ・バルハに見せた。激賞されると思っていたが、冷静な意見が返ってきた。時の目の院院長は、魔動兵の動力源が魔法であり、一体につき一人の魔道士が必要と知ると、もっと能力を簡素にし、量産の効く汎用型を作った方がいいんじゃないか、と答えた。ゾンパ・ジッパはかちんと来たが、彼は馬鹿ではなかったので、カラハ・バルハのアドバイスに従い方針を転換した。こうして研究の結果、現在の原型とも言える「自動行動式量産魔動兵」、通称カーディアンが誕生した。

 カーディアンが革命的な大発明であることは、誰の目にも明らかだった。元老院はすぐに量産を決定した。おりしもクリスタル戦争の真っ只中で、カーディアンは聖都防衛に大きく貢献した。彼らの「義理の父」であるカラハ・バルハは、862年、聖獣の召喚魔法により命を落とした。カーディアンが正式に戦闘魔導団に組み込まれるのは、そのわずか1年後である。この功績により、ゾンパ・ジッパは望み通り不朽の名声を獲得した。

◆誕生から死まで

 カーディアンは手の院の工場で製造される。体内には魔導球が埋め込まれており、心臓の役割を果たす。彼らの寿命は約2年だが、これは魔導球の動力がその程度しか持たないからだ(後述するが個体差がある。またこの年数は、外的要因による破壊は考慮されていない)。

 彼らの頭部は、星の大樹から取れた種子から作られる。彼らが人間の言葉を解し、心を持つのは、種子が触媒となるからである。星の大樹はウィンダス式アルタナ教のシンボルであり、その意味でカーディアンは、一種の宗教的権威である筈だが、タルタルは親愛の情しか示さない。前述の通り、タルタルはカーディアンが「星の言葉を話す」と詩的に表現し、可愛がっている。崇拝の対象とならないのは、タルタル側の陽気な性格によるものだろう。

 誕生の逸話からも明らかなように、カーディアンの製造目的は、人的資源の確保である。現在では、歩哨や警備といった仕事を主にこなす。責任者となることはまれだが、衛兵詰所やモグハウスで補佐にいることも多い。戦争時には兵士として駆り出され、この場合は魔動兵という本来の名で呼ばれる。魔戦隊一団につき100体の魔動兵が動員される。数は魔戦士のゆうに三倍以上だから、立派な主戦力だ。他国民が考える以上に、動くカカシの担う役割は大きいのである。

 そのような事実にも関わらず、手の院は予算が少ないことで有名である。理由は知られていない。院長同士の権力争いの結果なのかもしれないし、あるいは連邦の敵に回った、エースカーディアンたちの存在が影響しているのかもしれない。

◆造反するカーディアンたち

 生まれたてのカーディアンは丁寧に教育される。サルタバルタのモンスターの臭いを覚えさせられ、共通語のレッスンが、さながら幼児に教えるように施される。製造時の仕様により、カーディアンは決して嘘をつくことが出来ない。彼らはこうして善性を獲得し、連邦への忠誠心を育てていくのだ。

 ただし、まれに暴走し、人を襲うカーディアンが誕生する(「心」を有する者は複雑なのだ!)。彼らはウィンダスを逃げ出し、西サルタバルタ南東の遺跡に立てこもっている。幸いなことに彼らはあまり出歩かず、ほとんどが雑魚であるが、安心してばかりもいられない。中にはとても強力な個体も混ざっているからだ。ゾンパ・ジッパのプロトタイプがその好例である。

 ゾンパ・ジッパが作った試作品の魔動兵は、大戦末期自立型に修正され、戦線に投入された。見かけが不恰好だったので「ゾンパ・ジッパのサーカス団」と揶揄されたが、ザルカバード会戦では大活躍をした。この事実から、彼らが非常に強力な個体だったことがわかる。動力に致命的な問題があったものの、ゾンパ・ジッパが胸を張って、カラハ・バルハに見せただけの実力は持っていた。

 865年、彼らの一部が連邦に反乱を企てた(魔動兵の乱)。ゾンパ・ジッパは拉致されて行方不明になった。カカシの実力は、彼らの父すら陥れるほどのレベルなのだ。彼らのような強い個体をエースカーディアンという。

 魔導球のエネルギーは、通常ホルトト遺跡の魔導器を使って充填される。前述したように、これは本来2年ほどしかもたない。しかし、エースカーディアンたちが動き続けているからには、別の動力源か存在しているか、もっと強力な魔導球が使用されているか、二つの可能性が考えられる。
 
 エースカーディアンたちは、人間の言葉を流暢に喋るし、知性も高い。行動目的は明確ではないものの、第六の人類の頂点に立ち、よからぬ陰謀を企てているのは間違いない。

設計図

◆カーディアンの名前

 個人的に与えられた愛称――便宜上あるいは、ペット感覚で名づけられるものなど――を除いて、カーディアンには個体名というものがない。彼らは通常「数字ofスーツ」の名で呼ばれる。スーツには剣、カップ、杖、金貨があり、数字の代わりにジャック、クイーン、エース、キングが来ることもある。

 おわかりのように、これらはカード名であり、タルットカードの小アルカナに従う。タルットカードは同名のカカシを制御する力を持つ(Cardian=カードの民という名称はここから来ている)。具体的には、彼らの名前は以下のようになる。

セブン・オブ・ソーズ
スリー・オブ・カップス
テン・オブ・バトンズ
クイーン・オブ・コインズ

 一見これらは個体名に思えるが、実際のところ「称号」である。カーディアンが何らかの理由で活動を停止し、欠員ができると、その穴を埋めるように順番が繰り上がる仕組みになっている。従って、例えばナイン・オブ・カップスであった個体が、いつまでも同じ名前でいることはまずない。

 タルットカードの全貌は明らかになっていないが、大アルカナにおいては「愚者」「亡者」「王者」「隠者」の4枚が確認されている。大アルカナを補佐する小アルカナのスーツは、「剣」「棒」「聖杯」「金貨」の4種類があるようだ。

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