その113 キルトログ、クフィム島で「たこやき」を狩る ごく稀にだが、変に引っ張りだこに会う日がある。私がである。戦士がである。思うによっぽど人材が足りないのであろう。 モグハウスで目を覚まして早々、3つものパーティに声をかけられた。ありがたいことである(三日に分けて貰えればもっとありがたいのだが)。こういう時に限って急用が出来て、ある人に会うために、集合場所へ集まるのを待って貰ったのだった。タルタルのMunimuni(ムニムニ)(白魔道士25、黒魔道士12レベル)以下には申し訳ないことをしたものである。 彼らは同じル・ルデの庭のモグハウス前にいた。このエリアの入口はエレベーター式でいっぷう変わっている。それにしてもジュノは相変わらずの人出である。近々ユタンガ地方との交易が再開するとの噂だが、実現するまでしばらくこの混雑は続くだろう。 私の仲間は以下の通りである。 ヒュームのSparrow(スパロー)。赤魔道士26、獣使い7レベル。 エルヴァーンのBide(バイド)。黒魔道士26、白魔道士13レベル。 タルタルのTiffany(ティファニー)。黒魔道士25、白魔道士12レベル。 エルヴァーンのHidden(ヒドゥン)。戦士27、白魔道士13レベル。 Hiddenは大きな両手斧を背中に担いでいる。 我々の目的地はクフィム島であった。同地は私が前回見切りをつけたばかりの狩場である。もっとも今回の標的はリーチ(ひる)だが。蛭類は冒険者仲間から俗に「たこやき」と呼ばれる。丸っちい身体に紅のさしたようなのがこの料理を連想させるからだろう。 一般に冒険者は、面倒がって正式名を真面目に呼ぼうとしない。私は俗称を軽々しく使うのに慎重であるが、がちがちの学名主義者というわけでもない。クフィムのリーチはアクロフィーズというのだが、これなんかは名が体を表していない最たる例である。いったいこんな名前であのぱゆんぱゆんとした生き物を連想できる者がいるものだろうか。だからと言って「たこやき」と呼ぶのも抵抗があるので、せいぜいリーチと種別で表現してお茶を濁すことにしている。 クフィムの雪原に出たのはいいが、Munemuneの姿が消えてしまった(注1)。どこにも姿が見えない。きっとそのうち戻ってくるだろう、と望みを託して、我々は蟹などを相手にウォーミングアップを計ることにした。一人ならいざ知らず、ダンシング・ウェポンももう雑魚の範疇である。 珍しくも前衛は二人である。Hiddenはシュトルムヴィントという豪快な切断技を使う。それに私が同じ切断技であるレイジングアクスを繋ぐのである。回復はSparrowが奮闘していたが、雑魚で練習しているうちにMunimuniが無事戻ってきて、いよいよ「たこやき」に挑むことになった。思えばガルカン・トリオを組んだ前回は、手を出そうとして「まだ早い」とたしなめられた相手であるが。 25レベル前後で躊躇するだけあって、アクロフィーズはなかなかに強力な敵である。前線が二人しかいないが何とか踏ん張った。Hiddenの両手斧さばきはとりわけ見事なものだった。
釣り役を担当していたHiddenは、デルクフの塔入口脇から、海辺の方へ走って獲物を連れて来た。クフィム島は周囲が切り立った断崖であって、海岸線は東端の岸のごく一部しかない。ややあって「Kiltrogさん骨の裏を見てきて」と言われた。例の背骨のような奇岩が、我々のいる地点から南の方へ伸びている。要は釣り役を二手に分けようというのである。委細承知した私は骨に沿って行った。 最初はクリッパーや巨人などの、既にもの足りなくなった敵しか見つからなかったが、ライバル一行が減ってくるに連れて、ぽんぽん跳ね回るリーチも結構連れて来れるようになった。 基本的に、私が南、Hiddenが東を担当したのであるが、時に私が海岸の方へ行くこともあった。興味深いことに海から湯気が吹き上げている。海水の方が陸地より温度が高いせいだろう。この身を切るような寒さの土地で、湯気に包まれるのは実に奇妙な心地がする。
我々が実際に狩りに費やした時間はそう長くなかったが、アクロフィーズは理想的な獲物で、Sparrow、Tiffany、私が次々とレベルを上げた。だがそのうちに今度はHiddenがどこかへ姿をくらませてしまった。 我々は彼を待った。先ほどのMunimuniの例もあって、復帰するのに少々時間はかかるだろうが、このような危険な地にひとり残していくわけにはいかなかった。だがいくら目的があるからとはいえ、ただ待っているというのはひたすら退屈である。 そのうちに、Munimuniに直接誰かが話しかけてきた。本人の伝えるところによれば、「レイズ要請を受けた」とのこと。要するに別のパーティで死人が出たので、手数ではあるが復活させて貰えないか、と白魔道士のMunimuniに頼んできたというわけだ。 Munimuniはこれを快諾した。パーティは島の中央、小さな泉が凍り付いている通路の交差する付近にいた。Munimuniは初めてレイズをかけるのだ、と言ってはしゃいでいる。もちろんこんな魔法は使う機会のない方がありがたい。Munimuni自身はそういう「幸運な」冒険をずっと続けてきて、今の今まで蘇生呪文の使いごこちを味わったことがなかったのだ。 白魔道士がひとり遠出をするというので、私やSparrowが護衛についていった。だが一足早く、どうやら通りがかりの親切な旅人が、レイズをプレゼントしてしまったらしく、我々が到着した時には、まさに魂が蘇るところだった。おあずけを喰らったMunimuniはひどく悲しそうだった。Hiddenを待たなければいけないけれど、自分はもう時間がないから帰ってもいいだろうか、という。それで我々だけはまた引き返すことにして、Munimuniだけを護衛して先にジュノ港まで送りとどけた。 Hiddenが戻って来るまでに4時間ほどかかった(注2)。我々は安堵して帰路についたのだが、折りしも通りがかりに死人がいた。彼の仲間がその周囲で途方に暮れている。 白魔道士のいない我々に、もう出来ることはないのである。それにしても何と言うタイミングの悪さだろう! 注1 パーティから突然いなくなるのは「回線落ち」のせいですが、この日はプレイオンラインのバージョンアップがあって、再ログインすると強制的にバージョンアップが実行されるので、復帰まで時間がかかるのでした。 注2 ヴァナ・ディール時間(現実には10分程度)。このタイムラグも注1の理由によるもの。 (03.02.28)
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