その114

キルトログ、ブーメランで虎を釣る


 自分のメインの得物は片手斧である。実用段階にあるのは、他に片手剣と格闘くらいだが、このたびもう一種類ほど増やそうと思って、両手槍の修行をウィンダスでやって来た。ちなみに「なぜ両手槍なのか」に大した意味はない。単なる気分の問題である(注1)

 競売で手に入れたもう一つの武器はブーメランである。Demetriusが使っていたのを思い出して衝動買いしてしまった(その110参照)。1000ギル程度の安いモデルだが、練習用には丁度いい。獲物を釣り出すのが第一の目的だから、殺傷能力の低さをこのさい問題にすることもないだろう。

 
 今回私はこのブーメランを存分に投げてきたわけである。いつも通りその顛末を以下に記す。

 我々がパーティを組んで、バタリア丘陵に出ていったとき、いきなり剣歯虎に襲われた。何とも幸先が悪いものである。これを大慌てで撃退し、タルタルのTamus(タマス)(黒魔道士25、白魔道士12レベル)と一緒に胸を撫で下ろした。そう強くない相手で大事に到らなかったのが幸いだった。

 ミスラのShironeko(シロネコ)(モンク26、戦士13レベル)は、早い時間に離脱しなければならない、と言う。休む暇も惜しい。近くを知人が通ったので、手を振ったりしているうち、私は危うくパーティから遅れそうになった。挨拶もそこそこに慌しく仲間たちの後を追う。


 タルタルのPigeon(ピジョン)(白魔道士26、黒魔道士17レベル)に連れられて遺跡に出向いた。ひい、ふう、みいと数えると、三つもの集団が一同に介している。これはいくら何でも狭いだろう、と少し南へ移動することにした。エルディーム古墳の入口が随所に開いていることは既に説明した。我々はあの賑やかな遺跡から、最寄りの入口に移ったのだが、こちらは同業者がひとりもいなかった。珍しいこともあるものだと皆で喜んでたら、すぐに別のパーティが流れ込んで来た。そう話は甘くないのである。

 今回釣りを担当するのはエルヴァーンのLogan(ローガン)(シーフ25、戦士12レベル)である。ジュノで最初に集まったさい、自分の精通している武器を5,6種類ほどずらずらと並べてみせた。きっと本職は戦士なのだろう。

 彼が選んだのは格闘武器である。Loganはシーフである。不意打ちといって、敵の背中を襲うのがシーフの――シーフらしい――流儀であるが、不意打ちのコンボは強烈なダメージを敵に与える(背中からのコンボは必中なのである)。だからシーフは特に格闘を好む。装甲のうすい彼らが、盾を捨ててでもナックルを手に取る。その事実から破壊力を想像されたい。戦士の私にも実に魅惑的である。

 私が腰に下げていたのはグラディウスという片手剣である。これも競売で手に入れていた。

 今度の戦いは、私が連携の2番目に入り、LoganとShironekoのコンボをレッドロータスで繋ぐのである。実は槍の腕も片手剣と変わらぬほどになっていたのだが、武器の相性を考え、今回は譲ったかたちだった。それにLoganが両手武器を使うのだから、せめて私だけでも盾を持って、前衛全体の防御力に貢献するべきだ、と思ったのである。

 前回同様、Loganばかりにまかせず、彼とは反対の方向に足を運んで、私は獲物を探したのだった。二人なら索敵の効率はぐっと上がる。もっとも互いに別の敵を釣ってしまったり、一人だけ帰参が遅れたりすることのないように、声を掛け合うことだけは注意深くやらねばならない。


剣歯虎を発見する
近づきすぎてもいけない

 獲物と間合いを詰める。遠すぎては届かないし、近すぎてもいけない(注2)。腰から二の腕ほどの長さを持つブーメランを取り出す。ニ、三度刃先を揺らし、タイミングを計ってから投げつける。失敗するとダメージは与えられないが、武器は必ず手もとに戻ってくる。相手はこちらを敵と認識し、執拗に追ってくる。あとは待ち伏せの場所へ誘い込むだけである。

 弓や銃同様、ブーメランのような投擲武器は、狙いを定めるのに時間がかかるので、獲物に早くつばをつけるには向かない(その点「挑発」や、白魔法ディアにはまったく敵わない)。戦士やシーフ、狩人など、使える職種がかなり制限されるのも大きな短所である。

 ただしそれなりの利点もある。釣りに挑発を使うと、他の前衛の仲間よりもひとつぶん挑発回数が多くなり、敵の怒りを自分ひとりに集めてしまいがちだ。ブーメランを使うとその心配がない。だが今回、私に限っては、もっと大きな訳があった。私が両手槍の修行をし、片手剣よりも片手斧を愛した理由――気分の問題である。すなわち私は、単に剣歯虎相手にブーメランを投げたくてたまらなかったのだ!


Shironeko対剣歯虎
オーキシュ・ブローラー
手ごわい相手


 実際に戦ってみると、剣歯虎よりもオークやゴブリンの方が強敵である。クフィム島のリーチと同じように、迎え撃つには相応の準備が必要なので、虎狩りでウォーミングアップをしておいてから、ようやく獣人に挑戦するという手順を踏む。もっとも獣人数はそう多くなかったので、次々引っ張って来るのは結局無理であったが。

 私とLoganが索敵に出ているあいだ、Shironekoは遺跡の入口で獲物を待ち構えていたが、後衛の仲間たちは手持ちぶさたと見えて、互いに赤魔道士談義などをやっていた。赤魔道士は万能ではあるが、専門職の代役として期待されるのが現状である。Onezero(ワンゼロ)(赤魔道士26、黒魔道士13レベル)はそれをふんふんと聞いていた。もし前衛として、連携攻撃に参加しようというなら、短剣が強力だからお勧めする、とShironekoが言って、実際に武器をプレゼントしていた。私の槍同様、新しい得物の訓練も、今ならまだじゅうぶん間に合うことだろう。



【追記】

 以前ソロムグ原野を旅した際、天変地異の可能性について触れたが、どうもその可能性は高そうだ。

 バタリアの海岸線を覘いてみたところ、立ち木のことごとくが、奇妙にねじくれたまま枯れ果てている。一様に海岸とは逆の方向に身をそらしているので、海の側から強力な爆風を受けたとしか考えられない。そして崖の断面もやはり黒い。

 聖地リ・テロアへの巡礼が再開されれば、この秘密は解明されるだろうか。



注1
 戦闘スキルレベルは50を超えると極端に成長スピードが落ちるので、複数の武器を覚えようとする場合、ジュノへ上京するくらいの段階までに、ある程度のレベルまで鍛えておいた方がよいでしょう。

注2
 ゲームをやっていない人は「近づいても結局襲ってくるから同じことではないか」と思われるかもしれませんが、こちら側から攻撃して、システム上「自分たちの敵」と認定されると、他のパーティには手出しをすることが出来ません。これをやっておかないと、単に「襲われて逃げている」と判断されて、「親切な人がやっつけてくれる」事態が起こります。

(03.03.07)
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