その160

キルトログ、ブブリムの東海岸で魚と戦う

 私とLeeshaはシャクラミの地下迷宮に出かけた。まだここの恩恵を受けることが出来るとは思わなかった。以前ほど芳しくはないが、確実に経験を重ねて、二人とも18レベルに成長した。ミミズ様さまさまである。

 いったんウィンダスへ引き返して休憩を入れた。買い物をすませ、これから仲間を募って狩場に出撃しようというのであった。しかし人材不足は相変わらずで、白魔道士は全体数が少ない上に、大半がバルクルム砂丘に出払っている。そこで、ジュノでパーティ参加希望を出していたミスラの白魔道士の人に、Leeshaが話をつけて来て貰うことになった。とりあえずこれで回復役の目処は立ったわけだ。

 東サルタバルタにいた赤魔道士、タロンギ大峡谷の北、メリファト山地にいた戦士、マウラにいた黒魔道士をスカウトして、ようやく陣容が整った。我々はブブリム半島の入り口で落ち合った。これから半島を駆け抜けて、港街マウラでHP(ホーム・ポイント)の設定をしたのち、モンスターを狩ろうというのであった。私は街の入り口で、ブル・ダルメルやゴブリンを倒すことを念頭においていたが、Leeshaは魚がいい、魚がいいと言う。そういえばブブリム半島にも海岸線があり、スニッパーという蟹、ショール・プギルという魚が生息していた。海岸の砂浜では、夜になると亡霊ボギーが現れるので危険なのだが、戦士の修行をしていた頃は、何度かこの狩場の世話になったものだ。状況次第で考えてみてもいいだろう。

 しかしKiltrog御一行にいきなりケチがついた。一般的にマウラを目指すには街道沿いに進み、獣人の姿が見えたらやり過ごすのが比較的安全だ。というのは迂回がきくからだが、先頭を走るヒュームのAska(アスカ)(戦士19、シーフ9レベル)が、南東への道をたどっているうち、岩に囲まれた狭い通路に入り込んでしまった。彼はゴブリンに襲われ、我々が駆けつける間もなくやられてしまった。口を開いた罠に自分から飛び込んだようなものである。我々も次々にゴブリンに絡まれ、メンバーは片っ端から倒れた。パーティの全滅を確認したあと、私のみが命からがら逃げ出し、何とかマウラの入り口へ到達することが出来た。あの状況で一命を拾えるとはまさか思ってもみなかった。

 HPを設定する前であったので、哀れ白魔道士氏はジュノへ連れ戻される羽目になった。彼女はそのままパーティから抜けてしまった。個人的に謝罪の言葉を伝えたけれど、さて回復役をなくしてこれからどうすればいいだろう。メンバーは各地――主にブブリム半島入り口にて復活し、三々五々マウラに集まってきていたが、Leeshaはウィンダスからはるばる駆け戻って来るところだった。折りしもサルタバルタに赤魔道士がいる。ミスラのFarlam(ファーラム)(赤魔道士17)である。彼女にLeeshaと一緒に来てもらい、とりあえずパーティ機能は回復したが、赤魔道士ふたりのMP(精神力)がどこまで持つのかは未知数である。しばらくは弱めの敵を倒して様子を見るべきだろう。

 このときのメンバーは以下の通りである。

 タルタルのKrona(クローナ)。赤魔道士17レベル。
 タルタルのKyasha(キャシャ)。黒18、白魔道士9レベル。
 そしてむろんLeesha。忍者18、戦士9レベル。


ブブリム半島にのぼる赤い満月

 狩りを始める前から既に全滅(!)しているので、狩りは慎重に行われた。マウラの入り口というのはよく狩場として利用されるが、思ったほど理想的な場所ではないようだ。というのは、ゴブリンが街のかなり近くまで足を運ぶ場合があり、気をつけていないとリンクが起こり得るからだ。そして、獲物のダルメルも意外に弱い。赤魔道士の魔力も大丈夫そうだし、もう少し敵のレベルを上げてもよいのではないか、と思い出したころ、Leeshaがまたぞろ海岸海岸と言い出した。半分ミスラの血でもひいているのか、と思うほど彼女は魚に執着しているのである。

ブブリム半島の東海岸。
左手の岬を回りこむと、オンゾゾの迷路に繋がる洞窟がある。

 ブブリム半島は曇天が多く日中でも薄暗いことが多い。そのためバルクルム砂丘ほどの強烈なコントラストはないが、エメラルド色のググル青海の波が美しいことには変わりがない。この眺めは雨が降っても不思議に枯れた味わいを保つ。私はバルクルムのおし付けがましい輝きよりも、ブブリムの曇天の物悲しい風景の方が好きだ。波打ち際を漂う小さなくらげ――コバルトジェリーだろう――でさえも、何かしらもののあわれを誘うように思われる。

 一見したところわかりにくいが、海岸を北へ歩いて岬を回り込むと、洞窟がぽっかりと口を開けている。由来は判らないが、Leeshaの言によると、そこはオンゾゾの迷路というらしい。戦闘で危なくなったらこちらへ逃げ込めばよろしい、と彼女は言う。Leeshaの狙いは、魚から得られる莫大な経験値と、戦利品のシャル貝であるが、なるほど彼女の言うとおりなら安全に狩りが出来るというものだ。

 蟹を立て続けに退治してからプギル戦に臨んだ。ところがこれが恐ろしく手ごわい。確かバルクルム砂丘だったか、7,8人で袋叩きにしたもののなかなか死ななかったことを思い出す。我々は歯を食いしばって戦い、ようやく勝利した。むろんかなりの経験も得られたのだが、こんなことを続けていては身体がいくつあっても足りない。だから頑丈そうなやつは狙わないことにした。この海岸のプギルは昔はリンクしていた記憶があるが、現在はその心配はなく、単体を狙って狩りが出来る。普通に戦っていれば安全なのだ――対面する敵以外のことを考えなくてすむ、という意味で。

 その間違いが起こって、二匹のプギルに襲われた時には仰天した。後に判明したところでは、Kyashaの唱えたストンガが引き金になったようだ。ストンガは石つぶてをぶつけるストーンの上位魔法だが、固体ではなくエリアに作用するのである。つまり一定の範囲内にいる敵すべてに攻撃が行ってしまうのだ。それで我々は命からがら逃げて、オンゾゾの迷路の中に隠れたのであるが、中にはAskaのように洞窟に入れず息絶えた者もあった(注1)

 Leeshaの言う通り、海岸では収穫が多かった。しかし今回のパーティは混乱も目だった。例えばマウラに到着する前、オンゾゾの洞窟入り口での壊滅などである。個人的にKyashaは今日で6度も死んでいるのだそうだ。私も砂丘で似たような経験をしたが、狩りの終わりに、彼が幾分でも救われたと感じていてくれることを願う。

大漁

注1
 オンゾゾの迷路は追加ディスク「ジラートの幻影」から広がるマップなので、同ディスクをインストールしていないと洞窟に入ることが出来ません。


(03.08.24)
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