その10

キルトログ、荒野で獣人を狩る

 パーティプレイで全く敵ではなかったこともあってか、最初の頃にあったゴブリン・サグ(注1)に対する畏怖は消えていた。

 きゃつらは時折門の近くにまで出没して、経験の浅い冒険者の命を狙う。無機質なマスクを被っているので、余計に冷酷に感じる。私はこいつらを見つけるなり飛びかかって殴り倒した。魔法を使わない獣人などものの数ではない。ゴブリンを駆逐することで私は遂に5レベルにまで成長した。

 この頃になるとコンボというウェポンスキルを使いこなせるようになった。これは格闘のスキルが10レベルに達すると覚えることができる。左右の拳、続いて蹴りを一瞬で叩き込むもので、ひ弱な獣人ならたちまち瀕死にしてしまうほどの威力がある。

 モンクは百裂拳というジョブアビリティを持つが、こちらは一度使うと2日間は使用不可能(注2)になってしまって使い勝手が悪い。危険だからあまり試さないが、コンボを効率よく使えば自分よりかなり強い敵も何とか倒せるようになった。


 鍛錬に夢中になっていると、いつの間にか町から離れていることも多い。それでも私は計画的に遠出をしていた。

 幸いサルタバルタは見晴らしがいい上に、身を隠せる岩や木にはこと欠かない。強い獣人をやり過ごすには絶好の地形である。一度回復中にゴブリンに襲われて肝を冷やしたが、何とか瀕死になりながらも殴り倒した。こうした経験ものちのち教訓となって生きるのである。
 

 サルタバルタで注意するべきはヤグードである。連邦国家が友好路線を示している鳥型の獣人であるが、頻繁に近辺をうろついて冒険者たちの恐怖の的になっている。私のようなのが彼らを叩きのめすのを国は快く思うまいが、そこは理想と現実というもので、襲われるのがわかっているのに抵抗しないのはただの馬鹿である。ガルカだって善人もいれば悪人もいる。正直良いヤグードがいるとは想像がつかないが、敵ならば何者だろうが一切容赦をするべきではない。

ヤグード ヤグード

 東サルタバルタを北上し川を越える辺りになると、時に野営しているヤグードが見つかることがある。夜この辺りを歩けば赤々とした光が見える。冒険者がたき火をしているのだと思ったら大間違いだ。遠くから伺ってみたら中心にかなり強い鳥人がいる。夜は特別モンスターが手強くなるもようで、さすがにそんなのにかかっていくほど私も無謀ではない。

 と思って眺めていたら、傍らからレベル18の戦士が飛び出してきて、すらりと剣を抜いて切りかかっていった。哀れヤグードはたちどころにうめき声をあげてどさりと地に倒れた。私はそれを見届けて街へ戻った。レベル6へ上がったのを機会に、ホルトト遺跡の奥地へと挑むつもりである。


【追記】

 クロウラーと戦ったさい、不覚にも毒を喰らってしまった私に、親切な方がポイゾナ(注3)とケアル2をかけて下さった。このタルタル氏
にこの場をかりてお礼を申し上げたい。ありがとうございました。

注1
 ゴブリン、ヤグード、オーク、クゥダフなどの獣人は、人間と同じく強さに極端な個人差があって、ゴブリン・サグや、ヤグード・スクリブルなどのように、階級称のようなものを種族名の後(クゥダフのみ前)につけています。この呼び名が違えば、強さや攻撃のパターンがまるで違うので、事実上別のモンスターと考えてもよいでしょう。
 ちなみにゴブリン・サグとは「ゴブリンのならず者」という意味です。

注2
 ヴァナ・ディール時間でのこと。ヴァナ・ディールの1日は現実時間で約1時間に相当します。1レベルから覚えている各ジョブアビリティは、便利な反面、2時間に1度という厳しい使用条件がありますので、よほど長くプレイを続ける場合を除いて、事実上「一度の冒険につき一回しか使えない」と考えてさしつかえないでしょう。

注3
 ポイゾナは毒を中和する白魔法です。

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