その347

キルトログ、プロミヴォン・デムを探索する(2)

 崩れ落ちた風車の林の中に、何か動くものを見つけた。ふよふよと地表近くを漂っている。それは枯れ木と草むら――やはりこれも、金色に輝いている――のところに迷い込み、こちらに顔を向けた。タルタルより少し大きめの、昆虫のような生き物である。こいつらが、虚ろなるものなのだろうか。

虚ろなるもの

 我々は奴らを避け、先へ進んだ。四本の柱で支えられた、小さなドーム状の建築物があった。中に大きな光の球が浮かんでいる。人魂のような生き物が、近くを飛んでおり、Suurbierの弓の一撃で落とされた。ということは、奴らは武器で倒せるのだ。外見が異質ゆえ躊躇していたが、我々の攻撃は大いに有効であるらしい。

 しばらく見ていると、人魂はすぐに復活し、光球の近くを回り始めた。奴はどうやら守護役らしい。光球が母体であって、そこから次々と生まれてくるようなのだ。
 Urizaneが説明してくれた。
 ドーム内の光球を倒すと、ワープの渦が生まれることがある。その渦に飛び込めば、次の層へ進める。しかしながら、攻撃を受けているような状態だと、ワープをすることができない。光球の生み出す雑魚――例の人魂――は、本体の死後も生き続ける。これをすべて片付けるか、眠らせるかしないかぎり、安全に移動するのは難しいだろう。

 光球は強いのか、と聞くと、そうでもない、という答えだった。ただし光球は、強力な衝撃波を出して、近くにいるものを吹っ飛ばしてしまうことがある。ドームの柱に背を預け、衝撃波を踏ん張れば対処できる。光球が崩れたら、雑魚をいっせいに片付ければいい。奴らは弓で簡単に死ぬ。まかせておけ、と狩人二人が言う。

 我々は鬨の声をあげて、光球に飛びかかっていった。


光球との戦い

 プロミヴォンの場所区分には「層」を用いる。最初にワープするまでを第1層、次のワープまでを第2層、以下同様に続く。層が進むたび敵は手ごわくなり、ドームと光球の数も多くなる――すなわち、「ハズレ」を引く確率が増える――という構造だ。
 
 プロミヴォンの奥に進むにつれ、虚ろなるモノも何種類かいることがわかった。人魂のようなかたちをしたもの、前屈した四足の昆虫状のもの、羊のような大柄のもの、ハート型をした巨大な蜘蛛状のもの、ひょろ長い高足のもの、実に多種多様である。しかし、どのようなかたちをしていようと、空虚な印象は全種に共通している。我々が理解できないもの、理解を許さないもの。錬金術師ハリスが、奴らには感情がない、思考もない、目的もない、と言った理由が明らかになった。結局のところ我々は、感情を持たず、思考もせず、目的も抱かないものを、理解することなんか不可能だからだ。

 奴らにはもうひとつ共通点がある。身体の中心に、輝くボール状の塊を宿しているのだ。おそらくカーディアンで言う、魔導球のような働きをしているのだと思うが、定かではない。色は様々で、Landsendの説明によれば、その生物の属性を示しているのだという。例えば赤なら炎であるから、水の属性の魔法がよく効くものらしい。

 この塊は、魂の機能を持っているのか? 私はその破片を集めた。ハリスがもってこいと言っていた記憶――恐ろしき記憶の一塊悩ましき記憶の一塊疾しき記憶の一塊――が、これに該当するのかどうかは、正直言ってよくわからない。
 思えば彼の言葉には、いささか過剰な部分もあったと思う。層を重ねると敵は強力になったが、戦ってみて、かなわないという感じではなかった。ただし道中でLandsendがやられ、蘇生魔法がないのは危険だということで、Leeshaが白魔道士に着替えてくる、という一幕があった。絶対安全と言えるほど、余裕に勝てるというわけではないのだが……。


城?

 危険なときには、集団で行くのも一つの方法である。
 第3層において、Urizaneが光球を探していると、ドームの中にワープの渦巻きが見つかった。あれ、と我々は首をかしげた。考えられる答えは一つだ。つい数分前、何者かが光球と雑魚を片付けて、奥へ進んだのである。こんな絶好機を逃すべきでないと、我々は注意して渦へ飛び込んだ。渦にはもとの層へ戻るやつもあるから、じゅうぶん気をつけなくてはならない。

 果たして第4層の入り口には、別の冒険者のパーティがおり、回復をはかっていた。私は手を振り、目的地は同じのようだから、どうせなら奥まで一緒に行きませんか、と提案する。
 私の申し出は快諾された。我々は団子になって、強力な敵のさまよう第4層を駆け抜けた。


 第4層の終わりに、光球はなかった。代わりに巨大な城砦が、我々を待ち構えていた。
 終点はあそこだというので、敵に襲われるのも構わず、一息に走った。全員が駆け込んで、ようやく一息ついた。城砦の中は思ったより狭く、光輝く大きな扉がひとつ、我々の行く手を阻んでいる。他の入り口はない。
 
 この奥に、虚ろなるものが。
 過去の経験からして、ボスクラスの強豪がいるだろう、と想像がついた。先刻のパーティは回復にいそしんでいる。我々は荷物を確認、意を決し、サーメットの扉の中に踏み込んだ。


(05.05.03)
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