その274

キルトログ、ダボイで目的の品を手に入れる

 友人がいたら声をかけてみようとLeeshaと話していたが、こういうときに限って、ちっとも彼らの姿が見えない。やっとGorasをジュノに見つけて、ダボイにあるオークのテントを覗きに行くから、よかったら手伝って下さいと頼んだ。

 Gorasは快く「いいですよ」と言ってくれて、「Raidenも一緒でかまわないですか」と問う。それは喜ばしいことだ、と私が返事をすると、彼は、では待っていて下さい、暇な仲間も多いと思うので、と言った。そんなに大所帯にするつもりはないのだ、何しろ小用だから、と私は答えた。しばらく間があって、「Ponoを連れて行きます」という返事。PonoはSenkuの弟のタルタル氏である。私はこれを了承して、三人の客人を待つことにした。

 彼らとは別口で、Ragnarokから連絡が届き、前衛に空きはないか、と売り込みがある。お願いしますと私が頼んだ。髭氏とはダボイの入り口で待ち合わせることにした。

 私のレベルは40台後半になっていて、いかにダボイといえど、入り口周辺のオークどもは雑魚同然になっている。6人もいれば間違っても奴らに後れを取ることはあるまい。

 
 ダボイに入り、私たちはまっすぐ南へ向かった。

 泥池と処刑場のある広場を抜けて、南東に進むと、オークの集落にたどり着いた。皮で出来た粗末なテントが並んでいる。私はそのうちの一つに近づいた。


オークの集落
テント

 テントは半円柱を横倒しにしたようなかたちをしており、いかにもオークらしく、仰々しい雄羊の角で装飾している。入り口はタルタル用かと思うほど小さい。私は身を屈めて、斧を取り、テントに差し入れてみた。動物脂の腐った臭いがつんと鼻をつく。空が澱んでおり、湿度が高くなっているせいで、余計に不快な臭いだ。我慢して入り口の布を開き、覗き込んでみた。何もない。

 背後でうなり声がして、私は振り返った。

 屈強そうなオークが二体立っていた。

 仲間たちがそれっと斬りかかった。私も斧で応戦した。もっとてこずるのかと思っていたが、案外あっさりとオークどもは倒れ、私は再び探索に専念することが出来た。

 やがて別のテントの中から、片手剣のグリップ材が見つかった。獣の臭いの染み付いたそれをマントの端でこすり、古布にくるんで小物入れにしまった。


 ひどく早く用事が済んでしまった。しかしダボイでやるべきはこれだけではない。ずいぶん前に受けたままになっている依頼がある。時計塔の油と交換するために、オークの黄金マスクを入手しなくてはならないのだ(その144参照)。

 黄金マスクは、別の場所にいる、オーキシュ・トルーパーが稀に持っているらしい。そちらに河岸を移すことにした。

 池のある広場に戻る途中で、大量のオークを見つけた。冒険者がひとり駆け抜けていったあとを、10匹はゆうに下らないオークが、めいめいに得物を持って、追いかけ回しているのである。トレインだったらいけないので、Ragnarokが様子を見るため、その後を追った。獣人の背中を見送りながら、みんなでへえ、ほおと感嘆していた。これほど大人数のリンクを見たのは久しぶりである。パルブロ鉱山の雪崩のような虐殺以来かもしれない。

 やがてRagnarokが、肩をすくめて戻ってきた。逃げていたのは十分な実力者だったようだ。おそらくわざとオークをひきつけているのだろう。(注1)

オークの一団が通り過ぎていく

 Ponoが処刑場に立って、十字架を熱心に見つめていた。そんな彼を、三又槍を背中に負ったRaidenが、やはり熱心に見つめていた。

 私は言った。「Kiltrogはタルタルが大好き!」
 Ponoが照れて、顔を赤くした。
 Raidenは言った。「Raidenもタルタルが大好き!」
 Ponoがいっそう顔を赤くした。

「じゅるり」

 私がよだれを拭き、Raidenがフォークのような三又槍を構えると、Ponoは飛び上がって、一目散に西の広場へ飛んでいった。
 私たちは呵呵と高笑いしながら、彼の逃げた方角へ歩いた。さあ、トルーパーを倒して、黄金マスクを奪取するのだ。


 オーキシュ・トルーパーを重点的に倒しているライバルがいるせいで、また、奴らも滅多にこれを持っていないせいで、黄金マスクを手にいれるのにはだいぶ時間を要した。戦闘自体に手こずることはほとんどなかったのだが。

 ともあれ、私は友人たちの協力で、無事目的を果たすことが出来た。ジュノの天晶堂に出かける前に、まずは老婆のところへ行って、剣のグリップを渡してやるとしよう。


注1
 通常、モンスターに追いかけられている冒険者は、被害にあって助けを求めている、と考えてよいのですが、実はケースバイケースです。
 合成目的などで、モンスターが落とすある特定の品物が大量に欲しい、というような場合、一匹づつ倒していくよりは、一気に倒した方が効率がよいのは明らかです。それだけの実力があれば、ですが。
 高レベルの冒険者が、大量にモンスターをリンクさせて、一気殲滅することを俗にリンク狩りと言います。
 リンク狩りは、他のプレイヤーの迷惑になるので、一般的には非常識とされています。トレインに巻き込まれる可能性ばかりでなく、特定の種類のモンスターが一気に殲滅されることで、レベルの低い冒険者のクエストの邪魔になることがあります。文中の例に従えば、オーキシュ・トルーパーの一団をあっさり全滅させられたら、Kiltrogが黄金マスクを入手することは非常に難しくなります。
 ネットマナーに属する問題なので、リンク狩り問題は本人のモラルに任されています。人が少ないエリアや時間帯で、遠慮がちにやってる人も何人か見かけたことがあります。

(04.07.19)
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