その204

キルトログ、ホルトト遺跡の深部へ潜る

 森の区の噴水前で待ち合わせましょうと、私はApricotに告げた。彼女は黒魔道士である。残る赤魔道士の問題も解決した。Apricotが「姉のEliceに聞いてみましょう」といってくれたのだ。Eliceはゼプウェル島ツアーに同行してくれたメンバーである。妹同様のお下げ髪なので、双子と見まがうほどそっくりだ。もっとも、私はいまだに大半のタルタルの顔を見分けることが出来ないでいるが。

 後日返事が来て、Eliceの友達のミスラさんが一緒するが、構わないかという話だった。私もLeeshaも断る理由がないので、5人で遺跡を目指すことが決定した。探索はにぎやかな方が楽しい。

 私とLeeshaがジュノから帰郷し、再びウィンダスの門を潜る直前、鍛錬をしていた話好きのタルタル氏につかまった。二人してしどろもどろになっているところを、Senkuがチョコボに乗って通り過ぎた。遺跡の話をすると、まだ行ったことがないのだという。後学のために場所を知っておきたい、という彼の希望を受けた。幸い我々は5人であり、パーティに空きもある。6人目にSenkuが入った。改めて、探索はにぎやかな方が楽しい。


 噴水の前でApricotに会った。Eliceが少し遅れてやってきた。衣装もまるでそっくりなので、案の定どちらがどちらだか判らない(注1)。ミスラさんの姿が見えなかったので消息を聞くと、彼女はひどい方向音痴で、到着がかなり遅れそうだから、先に行ってくれということである。そこで我々は出発した。私とLeesha以外の3人はみんなタルタルなので、何だかお喋りの多いピクニックのような行軍となった。

 ホルトト中央の魔法塔には、興味本位からKewellと探索に来たことがある(その91参照)。ナナー・ミーゴの隠れ家のある洞窟であるが、カブト虫が群れている方の脇道は、石造りの大広間に続いている。建築者の意図がどうあれ、現在ではすっかりゴブリンやコウモリの心地よいねぐらと化している。「ほう、バルクルム砂丘クラスの敵だね」とはSenku。同地の獣人どもは、強くて20レベル代前半どまりだ。一方こちらは私とLeeshaが34レベル、他の仲間は40を越えるほどで、実力では全く勝負にならない。

 我々はゴブリンに邪魔されることなく、大広間を抜けたのだが、先の通路に宝箱を見つけてから、事情が一変した。鍵はいずれかのモンスターが持っている。ゴブリンか、コウモリか、大広間の手前の袋小路に潜んでいた、ブロブという名の醜いスライムか。そこで我々は、手分けして鍵を探すことにした――要するに、片っ端からモンスターをぶちのめしていくのである。

 じきにミスラさんがやって来た。レベル40代ということで、私より上質の鎧を身に着けている。Stridemoon(ストライドムーン)二刀流をマスターしていた。二刀流とは、片手に武器を一つずつ持って二重の攻撃をするという、東洋伝来の戦闘技術である。何だかとても格好がよくて見とれてしまった。二刀流は忍者のジョブアビリティだから、私がこれをマスターしようと思ったら、最低でも忍者のレベルを10まで上げなくてはならない。その前に転職の資格を得なければならないのは言うまでもないが。

 モンスターから入手した鍵を持って、Leeshaが宝箱の前に立った。それっとばかりに、タルタルどもが駆け寄ってきて、宝箱のすきまに身体を押し込む。蓋の上から大きな頭のてっぺんだけが覗いて、互いにごちんごちんとぶつかり合っている(注2)。Leeshaが箱を開いたら中から脅かそうという腹なのだ。このやんちゃどもめ!

 宝箱にはギル金貨がたっぷり入っていた。とりあえず鍵探しは徒労に終わらなかったわけである。

 
わんぱくなタルタルたち

 我々は魔封門の前に来た。床上には三色の円からなる魔法陣がある。白い円の中央に白魔道士、赤い円の中央に赤魔道士、黒い円の中央に黒魔道士が立つと、門が開く仕掛けだ。果たしてLeeshaとEliceとApricotが位置につくと、彼女らの足元から三色の光が吹き上がり、魔法陣全体が熱を帯びたようにあかあかと輝き始めて、あれほど堅固にぴったりと閉じられていた石の扉が、ご、ご、ごと大儀そうな音を立てて、開いたのだった。三人は魔法陣を離れたのだが、エネルギーが持続しているらしく、門は開いたままだった。魔法陣が放つ鮮やかな光に魅せられ、私はしばらく呆然としていた。なので、目の前で扉がぴしゃりと閉まった時には、どうしようかと思ったのだが、どうも内側からは簡単に開けることが出来るらしく、すんなりとApricotに迎え入れられたのだった。

門が開く

 小さな円形の部屋の中央に、石造りの塔のようなものが立っていた。東洋の石灯篭を思わせるが、我々の10数倍の丈があり、先端が天井まで届いている。笠の縁のラインが赤く明滅しているので、これが封印なのかもしれぬと思ったが、どうやら違うようだ。我々はStridemoonについて、袋小路と思える壁のところへやって来た。彼女がすうっと消えてしまった。Leeshaが続いた。Senkuが、タルタル姉妹が続いた。この壁は通り抜けが出来るのだ。幻術のたぐいかもしれない。壁の先は正方形の広間に繋がっている。剣や盾、鎌を持った骸骨どもが大量に徘徊していた。ウェンディゴだ――しかし幸いにして、こいつらも今の私たちにとっては雑魚でしかない。

あっけなく倒す

 広間から短い通路が四方に伸びている。各壁に2本ずつ、全部で8本あったが、このうち南の2本は先刻の部屋へ戻るものだ。通路は短く、みなすぐに突き当たりになっている。その脇に石の扉が見つかることもあったが、ぴったりと閉ざされているようだ。「雷の門」と表記がされている。向かいには「光の門」だ。

(水や風の門もどこかにあるのだろうか?)

 独り言を言って「光の門」に手を触れたとき、懐に入れてあった札が舞い上がって、扉に吸い込まれるように消えてしまった。私は驚いて声を出そうとしたが、叶わなかった。目の前が突然に暗転するのが判った。

 私の意識は失われた。


注1
 通常、キャラクターの頭上には名前が表示されていますので、間違えるということは殆どありません。名前表示は、コマンド/namesを実行するごとに、オンとオフが切り替わります。

注2
 写真を見ていただけたらわかるように、ポリゴンが重なることで起こる現象です。身体の小さいタルタルは、傍目からは宝箱に潜っているように見えます。
 ちなみにその202のLibrossにも、ポリゴンのいたずらが働いています。首のあたりをご確認下さい。


(03.12.01)
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