その244

キルトログ、プルナイト貝石を入手する

 Stridemoonの誘いを受け、シャクラミで戦っていたときである。突然にKewellから連絡が入った。

 彼女とは随分と会っていない。数えてみれば9ヶ月ぶりである。飛空挺パスと交換する鍵を探しに、パルブロ鉱山へ潜ったのが最後だった(その142参照)。それにしても半年以上前とは! 当時私は結婚しておらなんだし、そのつもりもなかったのだ。人の運命とはわからぬものである。

 遠征軍に行こうかという話題になって、少しは経験のある私が、ヤグードどもと戦うにはやや戦力が足りないと言うと、それでは後日、と解散になった。私はLeeshaを改めてKewellに紹介しようと思った。ホラの岩で落ち合った。バストゥークの冒険者らしく、Kewellは鋼鉄銃士隊式制式服を着ている。そのシックなスーツは、自慢の赤い髪を引き立てており、細身の彼女にはよく似合っていた。

 Kewellはうずうずと身体を動かしていて、何処かに出かけたいという気を抑えられないでいる。ノルマに過ぎぬ味気ない鍛錬にはとっくに見切りをつけていた。さりとて、三人で何処へ向かおう。適当な場所が存在するだろうか。危険過ぎることのない、それでいて冒険心をわしっと掴み、ぶるぶる振るわせて離さないような場所が。

 心当たりが一つあった。そこは、私と彼女にとっては因縁の場所だった。問題は、KewellがLeeshaの介入を許してくれるかだった。私たち二人でというルールが崩れてしまえば、冒険は色あせたものになりはしまいか。プルナイト貝石が欲しいのなら、単にフルパーティで挑めば良かったのだ。だが私たちは敢えてそうしなかったのである。

 KewellはLeeshaを連れて行くことに反対しなかった。もとよりそういう人ではなかった。私は満足して、メアの岩へ飛び、シャクラミの地下迷宮目指して駆け出して行った。


 シャクラミは、鍛錬のたびに何度も何度も訪れた。Kewellとも二回やって来たが、コル・モル博士の欲しがるプルナイト貝石はとうとう手に入らなかった。今夜が三度目の正直である。

 この迷宮には好戦的な怪物がうろうろしているが、みんな40レベルを越えているだけあって、ゴブリンも大さそりも襲っては来ない。前回に苦戦したジェリーでさえ、我々のことを無視した。ほとんど戦闘がないこともあって、以前到達した最深部をあっさりと更新した。

 我々が更に奥へ進むと、洞窟が広くなった。壁沿いに大羊ほどの化石岩がいくつか転がっている。逐一調べたが目指す貝は何処にもなかった。我々はさらに先と進んだ。

 気づいたらF-8にいた(その95参照)。脇道が南へ延びていた。横幅は広くなっていくが、同時に上り道にもなって来て、窮屈な印象を与えた。地図を開くと、へらのような形をした洞窟らしい。どす黒い大木が天井をはすに貫き、床に根を下ろしている。じきに行き止まりになった。

 その壁に化石岩があった。これまで見たものとは明らかに違っていた。ヒュームの身長ほどもある、槍貝のかたちをした窪みが出来ており、周辺の壁が紫色に染まっていた。にじみ出た地下水の成分か、それとも、生き物の乾いた粘液なのか。


化石岩

 私が窪みに手を触れると、背後に嫌な気配がした。振り返って見れば、巨大なスライムが、葡萄のような肌をぷるぷると震わせて、我々に怒りを振りまいているのだった。さあ妻よ、友よ、今こそ戦うときだ。私はホーリーソードをずらりと抜き放った。

イコーラス・アイラを倒す

 おそらくKewellと二人だけでも、何とか勝負にはなったろう。しかし私だけの魔力で、回復が追いついたかどうか定かでない。Leeshaの回復魔法があったからこそ、我々はスライムを順当に片付け、安全に洞窟を出ることが出来たのである。

 こうして私とKewellは、念願のプルナイト貝石を手にしたのだった。


 ウィンダスへ帰って、コル・モル博士にそれを渡した。彼が貝を必要としていたのは、単に友人の博士から借りた標本を壊してしまったためらしい。だとしたら、私たちは実にあほらしい動機で2回も死んだわけだ。

 報酬のグレートクラブを貰って、私はモグハウスへ引っ込んだ。女性ふたりはまだ一緒にいたらしい。後日、あれから何を話したのか、とLeeshaに尋ねたら、彼女はころころと笑った。「ひみつ!」と言って、決して私に教えようとはしないのだった。


(04.04.14)
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