その381

キルトログ、土の祈りを手に入れる

 聖地ジ・タの森で、Sifが言う。

「以前この辺りで、大ガエルに絡まれたねえ、Libross君……」

 Librossは苦笑いをしている。印象的だが楽しくない思い出らしい。しかしそのときの彼らが、たとえ屈辱を受けていたとしても、その雪辱はいま果たされたわけだ。大ガエルは地に死体となって転がっており、Landsendはそれを見て、一言「気持ちわるい」と言った。

 私は、光の祈りを手に入れた。


大ガエルとの戦い

 我々は次に、ベヒーモスの縄張りに出かけた。ゴブリン盗賊団巣窟のさらに奥で、ダンシング・ウェポン型の敵を倒し、雷の祈りを入手した。疲れたのでジュノで解散した。Leeshaと2人で行けるところも結構あるので、助っ人が必要な機会も少ないかと思われる。

 Leeshaとはまず流砂洞へ向かった。古代ガルカや、アンティカの文化を断片的に見ることが出来た。そのときのことを少しだけ書きたいと思う。


 過去、流砂洞に踏み込んだことが何度かある。最初にアルテパ砂漠に立ち寄ったときに、迷い込むようなかたちで中へ入った(その149参照)。その後もときどきここで武器の鍛錬をした。が、いずれも入り口の近くで戦い、成果を得たら引き返していた。従って、本格的に潜入するのは今回が初めてとなる。

 流砂洞という名から、砂を掘りぬいた場所のような印象があるが、実際の壁は岩で出来ており、柱も頑丈である。古代のガルカが築いたものだ。そこをアンティカがのっとり、わがもの顔で使っている。広間には憎々しい蟻獣人が群れているが、いちいち相手をしていてはきりがない。私たちはスニークで奴らを避けていく。ここは復讐ではなく、あくまで土の祈りの回収を優先させねばならない。

 Leeshaが広間の途中で立ち止まった。壁に両開きの石扉がついている。扉の前の地面には、十角形の岩板があり、魔法陣のようなものが掘られている。ホルトト遺跡の魔法扉を連想させるが(その204参照)、あれよりも一回りは小さい。一体これは何であろう。


石扉前の魔法陣

 Leeshaが魔法陣の上に乗って、ぴょんぴょんと飛び跳ねているのを、私はぼうっと見ていた。彼女が私にタッチした。「Kiltrogさん乗って下さい」 魔法陣の中央に、さらに小さな円があった。足を自然に開いたら、足の間が小円の直径に届いた。一度に2人乗るのは難しいだろう。タルタルを担ぎ上げるか、股の下に潜り込ませるなら別だが。

 魔法陣に反応があった。私が乗っただけで、白い光を放ち始め、こちらが驚いている間に、目の前の扉が横滑りして開いていった。

「ガルカ感知式の扉です!」と、Leeshaが楽しそうに言った。

 厳密にいうと、重量感知である。ガルカが乗ると開くようになっている。他種族が使おうとするなら、複数の体重をかけなければいけない。アンティカがこんなものを作るわけがない。600年がたった今も、古代ガルカの装置は有効に作用しているというわけだ。

 開いた扉の先に道が続いていたが、ひとまず関係ないと言われたので、私は広間を縦断した。「この先には、砂の落とし穴がありますよ」 彼女が言った。なるほど露骨に広い場所があった。Leeshaが「とう」と言いながら足を踏み出した。とたん、彼女の足元が崩れて、白いブリオーが砂に飲み込まれた(注1)。私はあっと叫んだが、彼女の行動をかんがみるに、どう考えてもわざと下に落ちたのである。そこで少々不安ではあるが、Leeshaに続いて穴の中へ踏み込むことにした。

 
 落とし穴は高くなかったし、地面がクッションのようだったので、さほどの衝撃はなかった。私たちは数分だけ休憩を取り、身体から砂を払って通路を進んだ。

 先ほどまで石造りの迷宮にいたわけだが、この地下では、目につくものが違っていた。壁面が天然の洞窟に変わった。天井は高い位置にあるが、巨大な球根のひげのようなものが、いたるところからぶら下がっている。砂漠に生えている木の根っこか何かだろう。


天井から根っこが

 崩れてでもくるんじゃないか、とはらはらしながら、私たちは広間を抜けた。やがて上り坂になり、表の砂漠に戻った。ひとまず天井からは解放されたが、遺跡の道はまだ続いている。私たちは高い塀を見上げながら、じりじりと照りつける太陽の下を歩いていった。

 通路を順にたどっていくと、傍らに白い墓のようなものが建っているのを見つけた。石碑ではない。直径が私の肩幅ほどで、それ自身は円柱型をしていた。目盛りがついた円月型の枠が、頂部についていた。何か専門の装置のようだが、不用意にいじるのはためらわれたので、放っといて先へと進むことにした。

 やがて方形の広場に出た。中央が長方形のかたちに窪んでおり、その中に石造りの囲いがあった。「うーん、あれは何でしょう」とLeeshaが言った。私に聞かれても見当がつかない。覗き込んでみたが、普通に砂が詰まっているばかりだ。たぶん以前は水が入っていて、噴水なり貯水池なりに利用されていたのだろう。

 方形の広場を抜けると、小さな洞窟があり、その奥にようやく石碑を見つけた。宝石に手をかけたが、何も邪魔する様子がない。このようにして私は、あっけなく土の祈りを手に入れた。戦闘がなかったぶん、尻すぼみに終わったような印象がある。むろん安全に取れるに越したことはないのであるが……。

注1
「ブリオーとは長袖のついたチュニックのことである。白魔道士の胴体の専用装備(アーティファクト)は、ヒーラーブリオーと呼ばれる」
(Kiltrog談)


(05.07.26)
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